20世紀は科学の世紀。ビルやマンションが立ち並び、自動車があふれ新幹線が開通し、人類はとうとう月面に降り立った。
そんな科学の時代にも、おばけはしたたかに生きていた。
1904年、日本で進化論の解説書が数多く刊行された。日本人が西洋の科学に追いつこうとしていたころ、小泉八雲が「怪談」を発表。西洋人である八雲が日本の「怪談」文化に強い興味を抱き、やがて明治の怪談ブームが始まる。
1979年、アメリカのスリーマイル島で原発事故が発生した。科学の暴走がもたらす恐怖に世界が直面していたころ、日本では口裂け女のウワサ話が大流行。恐怖のあまり警察まで出動する騒ぎとなった。
1990年、ボイジャー1号やハッブル宇宙望遠鏡が活躍。宇宙の神秘に世界がときめいていたころ、日本では民俗学者・常光徹の「学校の怪談」シリーズが発売。夜の学校に潜む神秘と恐怖の世界を大人たちが知ることとなる。
1998年、googleが設立される。世界中の人々がネットの画面に釘付けになっていたころ、ホラー映画「リング/らせん」が公開。画面の中から出てくる貞子の恐怖が大ヒットする。
どれだけ都市がデカくなろうと、どれだけ科学が発達しようと、おばけは死なない。怪奇はなくならない。彼らはいつだって、僕らのすぐそばにいるのである。
たとえば、真夜中の学校とか、都会のビルの隙間とか、廃墟となった団地とか、
たとえば、これを読んでいるあなたの、すぐ後ろとか……。