榮藤本家長男・榮藤郁織が7歳になったお披露目の日。 短命で知られる榮藤本家は、7歳になるまで決して家から出ず、他人に姿を見せない。 分家長男の榮藤織人は、初めて外へ出た榮藤郁織に歳が近い同性という理由で声をかけられる。 「織人くん」 身体が弱いため強制的に女装をさせられていた織人は、からかわず、初めて自分を「対等な男の子」として見てくれた郁織にひかりを見出して。 二人のはじまりの話。『夏』
夏、お盆にだけ行く田舎のおばあちゃん家。 濃い日陰を探してたどりついた神社で出会ったのは、お人形さんみたいな男の子。 「僕、榮藤郁織。君は?」 夏だけの思い出、夏だけの男の子。『リチェルカーレ』
高校の帰り道、郁織に誘われて、織人は一緒にファミレスに入った。 いつもの笑顔でテーブルに広げられたのは、大量の手紙。 いくつかかいつまんで読んでみると、それは。『ラウンジ』
放課後のレッスン室。 今まで交わらず、きっと、これから交わることもない同級生二人が、グランドピアノをかいしてつながる話。『ジムノペディ』
全能感、劣等感、自分は特別で、あいつが特別なのはおかしい。 あいつが嫌い。 榮藤郁織が嫌い。 主役になれなかった人の、最後の悪あがき。 ほんとうにわからなきゃいけなかったことは。『ああ、あなた、あなたのひかりに吊られたい』
雨にふられ、カフェで雨宿りをする大学生の郁織と織人。 「郁織くんはかわらないね」 小さい頃にした雨宿りを思い出しながら、会話に花を咲かせる。 そして、通り雨がさっていき、西日はさしかかる。 世界が、郁織を照らすように。『前夜』
悪い夢をはらってくれるのは、いつもあなた。
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