こちらのアイテムは2022/11/20(日)開催・文学フリマ東京35にて入手できます。
くわしくは文学フリマ東京35公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

黙奏

  • 第一展示場 | P-01 (小説|短編・掌編・ショートショート)
  • もくそう
  • 灰澤なな
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 88ページ
  • 1,000円
  • 2022/11/20(日)発行
  • 『黙奏』 世界は喪失に包まれている。だから私は小説を書くのだろうか。何のために、誰のために、そんな事を思いながら書いた四片の短編集。

    「月灯琴の鳴る夜」 「あ……月灯琴の音が聞こえる」それが弟の最期の言葉だった。嵐の吹き荒れる夜に、弟は静かに息を引き取った。その音は、生前の祖母がよく話してくれた民話に出てくる楽器の音。そして、私も同じ様に嵐の中でその音が聞こえてきた。まるで誰かに誘われる様に、嵐の夜の中を駆け出した。

    「NEVER EVER EVER WITHER」
     先生の真っ赤な薔薇の花びらを集めるのが、私にとって大切な事の一つだ。だが、それはいつまでも続かない。やがて訪れるのは愛する先生との別れの瞬間、そして、枯れることの無い私の想い。

    「海鳴」
    子を失ったクジラは歌を歌う。それを僕は黙って聴いている。気がつけば満月の光は失われ、浅瀬の夜は明け、僕はクジラの耳の骨のイヤリングを揺らして目を覚ます。海は自由だ、そう言っていた彼は、満潮の波の中に消え、そしてその向こうからは海鳴りしか聞こえてこなかった。

    「わたしを甘く溶かして」
    恋人と別れ、コールセンターをクビになり、今は梵女史が経営するクリニックで働いている。そこで取り扱うのは、記憶の苦みを消す砂糖。不意に訪れる悲しみから抜け出すために、わたしは処方された砂糖を飲み夢を見る。

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