-Introduction-
―寝返りのついでにあなたのからだを散歩した、あの夜明け前のようにー
学生のときのこと、夫とのこと、子どもたちとのこと、母のこと、おばあちゃんのこと。大好きな演劇のこと、よそおいのこと、いのちのこと・・・。なんら特別なことが起きなくても、劇的な変化はなくとも、いくつもの折り重なった日々の果てにある今日を、今を、もっと祝福したり激励したりして生きたっていいんじゃないかなあ。と、そんな風に思えるようになったのはつい最近のこと、文章で生活をしはじめて、10年が経った頃でした。
そう思った途端に、綴らずにはいられない、なんともない日や他愛のない生活がたくさんありました。美しい、とか、素晴らしい、とか、大好き、とか。悔しい、とか、さみしい、とか、会いたい、とか。叫び出すように生きているこの瞬間の連続が1日ならば、そうして積もるいくつもの1日が人生ならば、その日全部が喝采の日。美しい日も悔しい日も素晴らしい朝もさみしい夜も、戻りはしない、一度だけの喝采の日。最初は「喝采の日々」だったタイトルを、つよい気持ちで「喝采の"日"」に変えたのはそんな気持ちからでした。
時が止められない代わりに、全部を覚えてはおけない代わりに、私たちはことばを持たされたのかな。そんな風に思った瞬間をおさめました。わたしの喝采に、あなたの喝采を重ねずとも折り込んで、今在る今日を大きくもない両手で迎え、そして、見えなくなるまで手を振って見送ることができたら、という願いとともに。
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