寫眞家の吉松伸太郎とモデルや俳優として活躍する7Aと私,丘田ミイ子の3人で製作した寫眞とことばの作品集ZINE。
2020年の3月と6月に東京・根津の「イーディ」というギャラリーで同タイトルの展示を開催。2017年からの2年間、あらゆる季節を通して撮りためた写真に詩をつけた共作の作品集です。
桜の美しさに背中を押される朝もあれば、少し遅いきせつを生きている肌寒い夜に心救われる日もあって。まだここに立ち止まっていたい人にも、もっと先へと進みたい人にも、等しく訪れるきせつが、其々やさしくありますよう。そんな想いから、「きみが春をきらいでも」は「きみが春をきらいなら」と背中合わせ、開くと隣り合わせになっています。1冊を通しての往復寫間というイメージで、ことばの流れを大切にしたかったので、作品集には1つ1つの詩のタイトルはあえて載せていません。光が少し透けるトレーシングペーパーを挟んだページがあったり、お手紙のようなニュアンスを込めました。是非お手にとっていただけたら嬉しいです。
-Introduction-
2020年の春に向かって名付けたこのタイトルは、図らずもとても象徴的なものになってしまった。戻ることのできない時を閉じ込めた寫眞と流れる時間の中を泳いでいく花々。その狭間で、宙ぶらりんのことばを抱きしめながら、戻ることも進むこともできない今を見つめていた。見つめているとつい泣きそうになる寫眞ばかりを集めたギャラリーで、その扉に静かに鍵がかかったその時を私は忘れないと思う。
忘れたくないこと、忘れたくないのに忘れてしまうこと、思い出したい景色、思い出せない言葉。スパンコールの洋服、少しの紫陽花、海辺の湿度、秋のひかり、静かな駅、今年一番の水族館、雪の解けた白樺、赤いリボン、桜の木の下、おめでとう、ありがとう、ハイ、チーズ。そして、その先に「また明日」と言えなくなってしまった春があった。
行ってしまった春も、待ってくれていた春もここにはあると思う。そして、忘れてしまう私たちは、“忘れたくない景色を持っていることだけが確かな今”を、今日も今日とて生きている。
寫眞/吉松伸太郎
ことば・編集/丘田ミイ子
被写体・被書体/7A
デザイン/Ukitaniko.lab
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