今回のソガイのテーマは「物語と労働」です。基本的にこのテーマに沿って、論考、書評、小説などが収録されています。(残部僅少)
また以下のURLで試し読みができます。
http://sogaisogai.hatenablog.com/entry/2018/04/07/210700以下目次と概要です。
論考 次元を越えた「瓜二つ」―― 磯﨑憲一郎『赤の他人の瓜二つ』 宵野雪夏 2
『赤の他人の瓜二つ』を中心に磯崎憲一郎の文体の不気味さが検討されている。一例を上げれば、渡辺直己が言うところの移人称小説という概念にも磯崎の小説が当てはまらないことが本論考では指摘されている。
書評 『勝手に生きろ』書評 ブコウスキーは正論に対して虚構で対抗する 雲葉 零 24
チャールズ・ブコウスキーの小説『勝手に生きろ』ではしばしば労働への言及が見られる。ただし、主人公が目まぐるしく職場を変えるように、肯定的というより否定的な意味合いで。このことを足がかりに労働とブコウスキー、正論と虚構の関係が語られる。
創作 『富が無限に湧き出る泉』 雲葉 零 37
マルクス「ゴータ綱領批判」の一説に出てくる富が湧き出る泉という比喩をモチーフに、労働せずに生活することが可能になった世界が描かれている。
アニメ評論 ロボットからのギフトの可能性について ~『プラスティック・メモリーズ』所感~ 宵野雪夏 47
そもそもロボットという言葉が強制労働、強制労働者を語源に持つようにロボットと労働は深く結びついている。このアニメのヒロインでありロボットの一種であるアイラもまた、人間に労働を背負わされていた。その上で、本評論は人間とロボットの労働にとどまらない関係性を考察している。
論考 働かないことを夢見た人間たち 雲葉 零
本論考では不労主義という概念が導入されている。不労主義とは簡単に言えば、短時間労働や労働の廃絶を主張する思想のことである。論考、エッセー、小説などの形で表された不労主義を比較検討し、不労主義が空想的にならざるを得ないことが語られている。