文フリにお越しのみなさま、こんにちは。代表のホリィ・センです。僕は残念ながら会場に行けませんので、このサークルの来歴ととも にサークルの紹介をしたいと思います。まず、 そもそも「サークルクラッシュ」という言葉は 宇野常寛さんらが 2005 年に作った言葉です。 恋愛で人間関係が壊れる現象です。宇野さんとはひとまわり下の世代である僕はひょんなことからこの言葉に注目し、京大で今から10 年前の 2012 年にサークルクラッシュ同好会を立ち上げました。当初の目的はあくまで“目立つため”でした。
しかし同時に、サークルクラッシュという現象には僕の実存に触れる部分がありました。 僕は若い頃からゼロ年代の「ボーイ・ミーツ・ ガール」的な作品のストーリーを内面化しており、女性こそが僕の囚われていた劣等感から救ってくれるような気がしていたからです。 女性に優しく接されることで、あるいは女性 に自分の趣味嗜好を認めてもらえることで、 コロッと恋愛スイッチが入ってしまう(“クラッシャられ”る)男性の気持ちが僕にはとてもよく分かるような気がしました。だから僕は 「サークルクラッシュ」というものを、恋愛の実践もふまえつつ究めなければならない。そのような思いを込めて「研究会」ではなく「同好会」という名前をつけたのです。
会誌のテーマとやってきた活動について
「サークルクラッシュ」現象への興味は僕を社会学という学問へと導きました。自分自身の原稿を振り返ると、会誌第四号あたりまではサークルクラッシュまわりのことについての社会学的な考察を展開しています(ただ、 2015 年からは大学院生となって本格的に社会学を始めたため、研究の方は大学でやるようになりました。だいぶ時間がかかりましたが、今年の秋頃に日本初の「サ ークルクラッシュ」を題材にした論文が某学術雑誌から出る予定です)。
研究に代わり、第五号のあたりから、僕の書く内容は恋愛や性愛を題材にした「こじらせ自分語り」が中心になっていきました。他のサークラ会員たちもそこそこの頻度で「こじらせ自分語り」をやってくれています。
ただ、“こじらせ”をストレートに表現する会員ばかりではありません。どうもサークル クラッシュ同好会には文章を書ける人が集まってきたようで(それも広い意味では“こじらせ”なのだと思います)、小説やエッセイなどのかたちで表現活動をする人のための場所に もなりました。“文芸サークルとしての”サー クルクラッシュ同好会が、文フリのような場で披露されてきたわけです。
とうぜん「サークルクラッシュ同好会って普段は何をやってるんですか?」という質問 を何百回と受けました。それほど決まった活動をしているわけではありませんが、大まかに言えば、会員たちが抱えた“こじらせ”に向き合う「自助会」のような活動をしていたのだと思います。あるときはストレートに「当事者研究」という手法を用いて、会員たちのこじらせた悩みをテーマに語り合い、自分について研究してみます。またあるときは“こじらせ” から距離を置いて、社会適応のための活動をやってみることもあります(服を買いに行く会やコミュニケーションのゲーム、会員で旅行に行くなど)。
会員間で恋愛が生じて、実際に「クラッシュ」 することもありました。それはそれでいい思い出です。ですが......やはりそれは思い出なのです。
大学生はどんどん卒業していきます。サークルを維持するには新入生を入れて新陳代謝していかなければなりません。しかしホリィ・ センももはや 30 歳。しまいにはコロナ騒動で活動を継続することが難しくなりました。ひとまわり下の人たちと喋るのは難しく、自分の研究等々も忙しいときたもんです。10 年保ったのが不思議なぐらいです。後輩たちに「もう辞めましょう」と進言されつつ、「会誌は残してほしい」という声も強かったため、やむなく「研究所」というネクストステージへと進んだのがこの 2022 年です。
では、「サークルクラッシュ」研究所では何をするのか? ひとまず、ホリィ・センは“サ ークルクラッシュ学”を修めた「先生」という立場になります。もう大学生と台頭な立場ではいられませんし、「サークル」のノリを続けるのはもう体力的に無理です。不定期に(自分のためにもなる、「男女論」やジェンダー論、 メンタルヘルス系などの)勉強会や合宿といった集中的な活動をする場にしようと考えています。「自分語り」についても、一度体系的にやり方を学んでみた方がいいと考えており、「自分史の書き方」を集中的に勉強する会を開く企画を構想しております。
そして、会誌やブログのような、長文を書ける場についてはずっと残していきたい。昨今のSNS の普及は、腰を落ち着けて長い文章を書くという文化を廃れさせてしまったように 思います。実感を込めて言いますが、「自分語り」において語る主体である「自分」は、書く中で立ち上がっていくものです 。本当の意味で自分について深く知り、語るという側面を これからも大事にしたい。その意味で「研究所」 という名前がふさわしいと思った次第です。
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