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Cliche

  • キ-34 (小説|ファンタジー・幻想文学)
  • くりしぇ
  • ゆん
  • 書籍|A5
  • 0円
  • 2011/6/12(日)発行
  • 無料配付に切り換えました。

     ことりは公園にすんでいた。たった一人。広い公園の中に。たまに会いにくる人はいても、たまに会いにいく人はいても、大半の時は一人で過ごしていた。

    『ことり』

    「じゃあね」  彼女が手を振って丁路地に消えた最後の日。僕はいつまでも夕日を見ていた。 『seaside』

     ゴリラが家出した。まただ。本当にあいつは、何回家出をすれば気が済むのか。
    『ゴリラの家出』

     火星人がいた。
     いつもより水かさの多い川に、かろうじてかかっている橋。その真ん中へと差しかかった時、向こう岸の軒先で雨宿りをしている火星人の姿に気付いた。
    『異邦人と親切』

    「ラムネが飲みたいなあ」
     子どもの頃、夏といえばラムネだった。ラムネの青と味は、いつだって夏を告げていた。しかしここ何年かは夏にラムネを飲んでいなかった。
     『ラムネ』

     海に続く道はコンクリート。僕らはその上を歩いていた。右側は空に続く崖。左側は海に落ちる絶壁だ。
     デジャヴを感じる。そうか、ここは高校時代、レポートを書くために行った城ヶ島に似ている。
     『海の道』

     不意に少年は立ち止まり、こちらに振り向き微笑んだ。その面影は……誰だっけ。誰か、そう、ほら、あの……遠い日にいた、君。名前が出て来ないけど、確かに、君だ。
     誘われるように立ち上がり、店を出た。
     『波よせて』

     美しい姫とその姫に忠誠を誓う美男子の騎士の物語がある。
     この世界では、それは本当にある話。でも私達は違う。私達は、違う。
     『epic』

    「二人は同じかもしれないけど。でも、違うわ」
    『メトロフリークス(プロトタイプ版)』

    「森は深い。ここの外に出たって、どこへも行けやしないんだから」
    『鳥籠図書館』


    2000年から2009年までに書いたお話を集めた、作品集です。
    高校生から大学生までと、色々な時期の作品が入っていますので、
    色んな色をお楽しみいただけるのではないかと思います。

    表紙は沢野きささんにおねがいしました。

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