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スピラーレ

  • ク-14 (小説|ファンタジー・幻想文学)
  • すぴらーれ
  • 藤枝志野
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 70ページ
  • 300円
  • 2016/3/21(月)発行
  • 滅び・風・旅がテーマの連作掌編ファンタジー。
    イタリア〜中欧あたりのにおいがする世界を舞台に、
    異なる時代の人々をえがきます。
    「ホーフレアにて」「冬をこえて」はカクヨムにて全文試し読みできます。

    ●収録作品●
    「ホーフレアにて」
     山間の町にやって来たヨアン。深い緑の瞳をもつリッケと出会うが……

     リッケはくすりと笑い、ヨアンの顔をのぞき込んだ。あまりにもまっすぐリッケの眼差しが刺さってきて、ヨアンは少しどきりとした。
    「だったらまた会おうよ。あの橋にいるから、いつでも来て。ね?」

    「冬をこえて」

     疫病に村を襲われ家族を失ったルーカは、“魔法使い”と呼ばれる隠者の噂を聞いた。

     その人は琥珀色の瞳でじっとルーカを見た。えぐるように鋭く、それでいてゆっくり手探りをするような眼差しは、彼に村近くの林で見た蛇を思い出させた。

    「晩夏の手向け」
     剣士のゾントと楽師のビノエ、兄弟が出会った過去と幻。

     ビノエが〈歌ふいご〉の蛇腹を押さえる留め具を外し、枠の帯に手を通した。耳を澄ませ、息を吸い、目を遊ばせる。満ち満ちた緑と失われかけた日々の名残りが、確かに彼に応えたようだった。

    「星影の標」
     古に紡がれた聖なる言葉を探し、ミシュカは小さな旅に出る。

    「いま仰ぎます、いとも麗しき天地の母よ。命の環に微笑みを、栄えの歌に口づけを」
     頭の中でゆっくりとなぞった言葉が、輝き、天へ昇るのを思い浮かべる。最後の一つが瞬いて消えるのを見届け、ミシュカは男に髪の房を返した。


    「春へゆく風」
     薬を売って旅をするメアリアと先生はサンゲルジュという町に着く。

     葡萄色の衣は人の目をよくひいた。後ろから声をかけてきたり、先生を認めるなり寄ってくる客も少なくない。竪琴を抱えた楽師はあかぎれに効く膏薬を求め、酒場から出てきた歌い手は喉を潤す蜜を買ってゆく。


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