2011年から2019年にかけて、アンソロジーに寄稿したりオンラインで公開したりしていた短篇・掌篇の再録集です。
「好みのパーツばかりを選んで組み上げた景色にキャラクターを配置し、動かして遊ぶ」という方法で書いた、私にとっての箱庭療法的な話、そして好きな音楽にインスパイアされて書いた話をとくに集めました。
表紙は地券紙に二色刷り。
「空の鳥籠」
初出:2018.05.20 #シズムアンソロウェブ企画(うさうららさま主宰)
〈共有設定〉
白い船は山の緑に湛(しず)んでいた。戦前に建ったホテルはすっかり朽ち、それがかえってアールデコ様式の退廃美をかがやかせている。リノベーションの話が持ち上がり、男は現地調査に来たのだった。暗い建物を抜け、鳥籠のようなシルエットの真ん中に立つ。屋根の墜ちた廃温室だ。
「冬の惑星」
初出:2011.06.12『ROCK音楽×創作小説企画 感応ノイズ』(Lumiereさま発行)
inspired by Winter,again/GLAY
「逢瀬」
初出:2015.09.20『BL俳句誌 庫内灯』
inspired by 墓のうらに廻る/尾崎放哉
「なにもうまれない街」
初出:2017.06.21 #さみしいなにかをかく
街から子供がいなくなった日、うそのようにきれいな波打ち際でコーヒーの正しい淹れ方について揉める話をしてください。
「飛ぶ夢をみたことがない」
初出:2016.05.04『THERE'S A VISION -Tribute to ZABADAK』(冬青さま発行)
inspired by 飛行夢/ZABADAK
「雨の庭」
初出:2019.09.08 書き下ろし
以上の六篇を収録しています。
こちらのブースもいかがですか? (β)
中村庄八商店 犬と街灯 滝口悠生と植本一子 斜線堂有紀 代わりに読む人 双子のライオン堂出版部 エリーツ SF文学振興会 書肆侃侃房 大阪大学感傷マゾ研究会