こちらのアイテムは2020/11/22(日)開催・第三十一回文学フリマ東京にて入手できます。
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雨と名のつくもの

  • シ-04 (小説|短編・掌編・ショートショート)→配置図(eventmesh)
  • あめとなのつくもの
  • 狂った歯車堂
  • 書籍|A5
  • 58ページ
  • 400円
  • 2020/11/22(日)発行
  • 雨をテーマにした作品をまとめた短編集です。

    試し読み
    季節の庭で レミィ
     僕が十七歳だった頃のとある一カ月の出来事については、恐らく今後僕にある程度の意味を与えたり、ある程度の迷いを与えたり、ある程度の勇気を与えたりするのだろうと、そう思っている。それは決定的なことではなく、とても暫定的なことだ。なにせまだ、そのとある一カ月の出来事から三年近くしか時間は経っていないのだから。二十歳の僕にとってあの一カ月は三年程度で呑み込み咀嚼できる大きさではない。そんなことをしてしまったら喉に詰まってしまう。
     だからこそ、それは数年後、数十年後、そういった時間の経過のある地点において、僕という個人がふと立ち止まったとき、ふとなにかの音を聴こうと思ったとき、その一カ月の期間は僕にそっと寄り添い、そうして語りかけるのだろう。暫定的に、今はそう思う。

    雨といえば昔 かいこん
     宇宙のどこかにきっと存在するであろう星、「ブリハイ星」。そこには三種類の人類が生活していた。
     この星を五つの国に分け、数々の戦争を繰り返してきた、特筆するような特徴のない人間。
     世界に二つの学校と一つの政府を持ち、人間に紛れて生活してきた魔法使い。
     世界に八つの里を持ち、その中で人知れず生活してきた忍者。

    雨三夜 蒼狗
     その日も私は日課となりつつあった夜の散歩に出かけていた。
     夜、それも日をまたぐ頃合いの夜だ。
     当然の如くすれ違う人などいない。普通であればもう少し居るのかも知れないが、今日の雨で外に出るような人間はかなり稀な存在だろう。
     わざわざ傘をさし、わざわざ足元の悪い中を当てもなくさまよう。そんなことをする人間は私だけだと思っていた。

    霧の街 西木眼鏡
     雨が降っている。もうずっと長い間。それはこの街に掛かった呪いだという噂話をする人もいるし、またある所には雨が降っているのはこの街だけで、街を出れば晴れているという人もいる。いやいや、街の中心地だけは晴れているんだよ、と言う人もいる。つまり、万人が違う意見を持っているのだ。
     この街はとても広くて、かつてはトウキョウと呼ばれていた。今の形に至るまで何回かの発展と衰退を経て、現在は富裕層が住む一番街を中心になり、その周りを囲むように二番街、三番街と続いている。

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