1900年、オスカー・ワイルドが同性愛の罪で投獄されて、まだそれほど経っていないころ。
大学を卒業したばかりの英国貴族・グラニスター侯爵家の長男、アーサーは家庭教師と世界を見る旅に出る。彼は光り輝くパリで、生涯ただひとりの恋人と出会う。貧困の中で暮らす、オペラ「椿姫」を愛する薄幸の画家・ベルトラン。
お互いに惹かれ合うふたりだが、アーサーはいつか故郷に帰って国家にその身を捧げる立場だった。それを知りながらもベルトランは彼の誘いに乗って、アフリカ大陸へ旅立つ。
英国保護領東アフリカの首都モンバサ、そしてナイロビへ……、暗黒大陸と恐れられるその地で、彼らを待っていたものは……。そしてその旅路の果てに、ふたりの愛がゆきつく場所は……。
パリ、モンバサ、ナイロビ、ケンブリッジ、ヨークシャーを舞台に、グラニスター侯爵家三世代、四十六年にわたるボーイズラブ版植民地ロマンス。