その瞬間、両親が完璧に陥落したのがわかった。哲人がたとえ演技をしていたとしても、これ以上のプレゼンテーションがないことは認めざるをえない。哲人がたとえ、私のことを好きだとは一言も言っていないとしても。
こうして、私と哲人は婚約した。
「善と悪の境界線」(紙野まじお)私は鳥の首を、まるで筆のように掴み、思い切りドアに叩きつけた。ばちんと音がして、白いドアに思い切り赤い血が飛び散った。飛び散った血はツルツルとドアを流れ落ち、玄関に更なる血だまりを作る。私は、手首に力を込め、ドアにつけた鳥の尻を縦に滑らせる。まるで書道のようだ。なにか、なにか書かなければ。