同じ会社に新卒で入社した、同期同士の真貝と窪田。友達ではない、恋にも落ちない。それでも夜の時間をいちばん共有しているふたりの、夜更けから夜明けまでのやりとりを描いた短編。約9000字。
たぶん窪田は、私が人生でもっともお酒を一緒に飲んでいる相手だと思う。私は家ではほとんど飲まないから、実家の親兄弟よりも、歴代の恋人よりも、夫よりも、窪田と飲んでいる。
(中略)
だから窪田を思い浮かべるとき、いつも夜を連想する。お互い日中はあまりオフィスにいないし、たまにランチに行くことはあっても、先輩や後輩も一緒に出る。ほかの女子の同期のように、休みの日に外で会ったこともない。TwitterやInstagramのアカウントも知らない。
私たちが親密になるのはいつも、残業で人がまばらなオフィスや、夜更けの飲み屋だ。入社から8年経って、部署が別になった今も、それは変わらない。