こちらのアイテムは2017/5/7(日)開催・第二十四回文学フリマ東京にて入手できます。
くわしくは第二十四回文学フリマ東京公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

みきのくち 創刊号

  • Fホール(2F) | オ-70 (評論|文化研究)
  • みきのくち そうかんごう
  • まつのうろ会一同
  • 書籍|A5
  • 56ページ
  • 500円
  • テーマは「民俗学」!それ以外は自由!
    某大学地下室に集った同好の士たちそれぞれが好き放題に書き綴った文集です。
    以下目次・執筆陣・一部内容紹介

    虫博士君再考 ………………………………………………………… ハンミョウ

    エッセー:妖怪の身体感覚 ………………………………… 山ン本五郎左衛門

    弔うということ ………………………………………………………………… 兼永

    Folk und Der totale Krieg. ………………………… 八八艦隊加賀の航海士

    音に広がる世界を見る ……………………………………………… 六月のあめ

    祭りを伝えること―里は滅んでしまうのか― …………………………… やまと

    夏と祭りとノスタルジー コンテンツの中の民俗学的表象 … 山ン本五郎左衛門

    小説:あるタニシの物語 ……………………………………………… 鈴木サン


    エッセー:妖怪の身体感覚」より

    「私は大学で民俗学を学んでいる。大学に入る前は民俗学は昔の行事とか祭とか妖怪について研究する学問だと漠然と思っていたので、妖怪にはそれなりに興味があった。今でも妖怪関連の企画展には行くし、妖怪の出る漫画も金銭の許す限り購入して読んだりしている。しかし、それでも妖怪を研究している諸先輩方には到底足元にも及ばない。

     子供の頃から怖い話や怪談に興味があり、必然常光徹の学校の怪談や、都市伝説などに興味があった。その延長線上として現在は口承文藝を主に学んでいる。

     怖い話にも興味があったが妖怪も好きだった。しかし、私には霊感はない。児童書などで語られる怖い話には霊感のある登場人物が必ずと言っていいほど登場した。クラスにも霊感少女よろしく、霊感があると語る人もいた。そういう世界にあこがれがあった私は彼らがうらやましかった。

     私の母親と母方の祖母はいわゆる霊感があるらしく、お盆の時期になると先祖が来た気配がわかるらしい。一昨年、横浜の大叔父が亡くなったのだが、今年の七月ごろ、二人は別々の家で何かが来た気配を感じたそうである。それでよく考えると関東のお盆は七月なので帰ってきたのだろうと二人で話し合い納得したそうである。他にも母親が務めていた幼稚園に亡くなった園長の霊が来た話や、私の通っていた幼稚園のホールに続く階段に嫌な気配を感じた話などもある。

     話がそれたが、私はあまりそういった経験がない。ここでは話さないが中学生の頃、自室で体験した話が一番怖い話(それこそ今でも説明がつかない体験)であるが、ここで語るのは私が出会った「妖怪」についてである。

     伊藤龍平の『ネットロア』に「ビシャガツク」という妖怪の説明が出てくる。元々は雑誌『世間話研究』に載せられた論文なのだが、ここでは論文をまとめた単行本から引用する。

     

       みぞれが降る夜道を歩いていると、自分の足音以外に「ビシャビシャ」と後ろからもう一人分余計な足音が聞こえてくる。気味が悪いので振り返って確かめたいが、どうにも怖くて振り返れない――雪国で育った者ならば一度は経験した感覚だろう。福井県に出るという「ビシャガツク」は、この感覚から生まれた妖怪である。[伊藤:二〇一六:九二]

     

     私は妖怪好きでも、そこまで妖怪にくわしくない。「ビシャガツク」もここで初めて聞いた。しかし、私はすぐにこの「ビシャガツク」が何なのかを理解した。私もこの「妖怪」についてあったことがあるのだ。同じ頁、伊藤先生は「雪国育ちの聞き手ならば、その違和感を即座に理解するはずである。それを気のせいとして一笑に付すか、解釈装置として妖怪を持ち出すかはともかくとして。」[伊藤:二〇一六:九二-九三]と続いている。伊藤先生は今でこそ台湾にいるが私と同じ北海道生まれである。この話を聞いた時、伊藤先生も「違和感を即座に理解」したはずであろう。……」










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