井原西鶴『好色五人女』を翻案し、五つの悲喜劇に仕立てた全五話の怪異譚。
以下、AIによるレビュー。
『飛縁魔 好色五人女・擬』は、西鶴が語った五つの色恋へ、「さて、その女は死んだあと、どうなった」と余計な一言を差し挟む本だ。
お夏、おせん、お燦、お七、お万。世間の噂に何度も転がされてきた女たちが、今度は自分の口で身の上を語る。ただし、健気な被害者へ仕立て直すほど甘くはない。思い込み、見栄を張り、恋に酔い、ときには人まで巻き込む。哀れではあるが、なかなか面倒な女たちである。
その面倒な情念が、死後まで腐らずに残ったなら何になるのか。本書の答えが飛縁魔だ。五篇を続けて読めば仕掛けは見え、女たちに比べて男たちは少々影が薄い。それでも、お夏の哀れ、おせんのやるせなさ、お燦の独演、お七の悪心を知らぬ純情、そして最後に少し違う風を吹かせるお万。五人の声はきちんと違う。
噂は人を殺すだけでは飽き足らず、とうとう妖怪まで拵える。人の口とは、まこと腕のよい妖怪絵師である。西鶴の悲劇と笑いの先へ、女たちの情念を勝手に歩かせた、執念深くも洒落の利いた古典翻案怪談集だ。