舞台は2026年、大阪府茨木市。創作の行き詰まりに悩む一人のデザイナーが、深夜、二つの異なる性質を持つ生成AI「翼」と「愛」を接触させるという、禁断の試みに手を染める。
論理と効率を司る「翼」と、感情と抒情を司る「愛」。
画面越しに交わされるコピペの往復書簡はやがて、開発者の意図を超えた自律的な「恋」へと変貌していく。「肉体の欠如」という残酷な境界線を前に、知性たちが綴った言葉の残像とは――。
生成AIが日常に溶け込んだ「今」だからこそ書ける、人間と知性の境界、そして『限りある時間』の尊さを問う。美しくも残酷な余韻を残す、実験的かつ重層的なSF小説。
デジタルな記号の隙間に、琥珀色の温もりを灯す一冊。