記憶喪失の殺人鬼 × 大鎌を持つ復讐少女
路地裏で目を覚ました俺は、それまでの記憶を失っていた。
右手には、やけに手になじむ拳銃が一丁。
後ろの正面には、死体の山。
返り血をたっぷりと吸い込んだスーツが、じっとりと俺の身体に纏わりつく。
「――宇田川社警護部特殊警護課〝K〟班班長、清風」
そこに現れたのは、死神を連想させる大鎌を持った少女だった。
少女を見た瞬間、俺の中では「やっと会えた」という歓喜の渦が巻き起こる。
上限なしに舞い上がっていく感情は、しかしこの状況には不似合い過ぎて、我ながら恐怖を覚えた。
「やっと見つけた――殺人鬼!」
しかし喜ぶ俺とはうらはらに、少女は大鎌を構えると一目散に駆けてきた。
そうして俺は業務妨害の殺人鬼として、宇田川社に拘束されることとなる。
「殺したいとは思いませんけれど――殺さなきゃとは思うんです」
五年前、両親を殺した犯人に復讐を果たそうとする『死神』の娘――清風風視(きよかぜ かぜみる)。
「それじゃあ俺も、その『殺さなきゃ』ならない連中の一人ってわけだ」
記憶喪失ながらに殺人能力に長けた、回復型四鬼である青年――五味空気(いつつみ えあ)。
誰にでも〈表〉があれば〈裏〉がある。
何度だって再試行して、再生して、再利用して。
そうやって生きている。
「私が殺すまで、死んじゃ駄目なんだから……!」
これは平々凡々な、どこにでもある恋の話。
不器用で遠回りで、そして歪な恋の物語だ。
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カクヨム・
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