――取るに足りないものほど、愛おしい。
ある三月の晩、伏せた茶碗の中から突如として現れた〝ちいさな人″との静かな交流を描いた〈ちいさな人〉
陰鬱な少年が人知れず纏うむせ返るような夏草の匂いに魅せられ、目が離せなくなってゆく〈香る人種〉
水商売の女が、眠りの淵で聴く子どもたちの謎の声に心を捕らわれ、現実と非現実の境を危うくうろつく〈流転〉
など、少し奇妙で、取るに足らない、自然の岩の断面のような〝微妙な美しさ″を切り取ったショートショート五篇。
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