「かたんかたん、と遠くから聞こえてくる。休日も夏の終わりも変わらずに七時四十二分の電車が来る。」
――夏の話『ついでに夏も持っていけ』
「向こうが見えないくらいの、一面の笹原。ぼくはその中心に立っていた。」
――秋の話『フォール・イン・ポンド』
「にま、と子供が笑った。どう見ても、俺を馬鹿にした笑い方だった。」
――冬の話『冬休み症候群』
「形のない塊が、その時はっきりとした意思を持ってそこに存在を示しました。わたしはその意思を確かに理解したのです。」
――春の話『彼を隔てて春が来る』
夏秋冬春の順で送る、四季と”隣人”たちの小さなお話。
なんだかわからなくっても、見たことなんかなくっても。
彼らは、きっとそこにいるのだ。