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カムvol.20

  • く-33 (小説|エンタメ・大衆小説)
  • かむ
  • 早高叶・他5名
  • 書籍|A5
  • 500円
  • 2022/9/1(木)発行
  • 文芸同人誌『カム』vol.20。短編6編を収録。

    早高は短編「鳥玉響(とりたまゆら)」を掲載しています。
    過去に殺人を犯した女性の前に現れた、謎めいた少女「たまゆら」。
    彼女との関わりを通して、主人公の過去が明らかになっていきます。


    (書き出し紹介)
    「二十年前は、どこにいたの。何をしていたの」
     問うても、たまゆらは答えない。
    白い顔にあるかなきかの笑みを浮かべ、首をかしげる。その様は、小鳥のようだ。
     三十年前は、四十年前は、五十年前は、百年前は、千年前は。
     どこにいたの。何をしていたの。
     もし仮にそのように問いかけたとしても、やはり無言で小鳥のようなしぐさを見せるだけだろう。そんな気がする。
     「たまゆら」と名を呼ぶと、振り向く。
    なあに、と眼差しで答えてくれる。
    あまり口をきかない子だけれど、名前は、と尋ねた時だけは、明確に答えた。
     ――たまゆら、と呼んで。昔、そう呼んでくれるひとがあったから。
     そうなの、わかった、たまゆらね、と私は素直にその名を呼んだ。
    少し変わった名前だと思ったけれど、音の響きは良い。
    たまゆら、たまゆら、と口の中で転がすように呼んで、こう言ってみる。 
     「ねえ、私にも聞いてみて。二十年前は、どこにいたの。何をしていたの」
     彼女は、おうむ返しに尋ねてくれる。
     「二十年前は、どこにいたの。何をしていたの」
     「私はね……」
     忘れられない。二十年前。小雨もよいの春の夜。薄暗い公園の、揺れる雪柳の木陰に、私はいた。
     「私は人を殺したの。包丁で刺して、殺したの」
     歌うように答える。
    たまゆらは「ころしたの」と同じく歌うように繰り返す。あどけない小鳥のようだ。
    次は、あなたを殺そうか。それとも、私を、殺してくれる?






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