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神父様と堕ちていく

  • か-34 (小説|BL)→配置図(eventmesh)
  • しんぷさまとおちていく
  • きよにゃ
  • 書籍|A5
  • 60ページ
  • 400円
  • http://kiyonya.xii.jp/freo/
  • 2022/1/16(日)発行
  • 「私を誘惑しないでください」

    美麗な神父×彼に保護された少年(14)

    【あらすじ】
    幼い頃、暴漢に襲われそうになった僕は見目麗しい神父・アランに助けられた。教会で成長し、彼に恋心を抱くようになる。だがある日、アランが巡礼の旅に出ると言い出して? 
    表題作1万字に、【悪魔を呼び出した話】【授業参観】【Xmasホリデー】など三編2万字を追加。


    【お試し読み】

     ある日庭でラウルに食餌を与えていると、アランがすぐそばに来た。思い詰めたような青白い顔色をしている。

    「どうしたの? 顔が青いよ。気分でも悪いの?」
     「いえ、ユリウスに大事なことを伝えにきました。最近悩んでいたことです。巡礼の旅に出ようと思うのです」
     「聖地へ? ……で、でも何年もかかるでしょう? 教会のミサや行事はどうするの? それに、とても大変な旅だって聞くけど……」
    「ええ。私の抱える悩みは、聖地に向かえば解消される気がするのです」

     そう言って、アランが聖地の方向へ目を遣る。気持ちはすでに彼の地へと旅だっているかのようだ。  アランを取られたような気持ちがする。この場にいるのに、アランは信仰へ身を投じているのだ。

    「い……、いやだ! 僕をひとりにするの? アランがいない世界じゃ、僕は生きて行けない」
     「ユリウス」
     「だって、引き取ってくれたときから、ずっと一緒だったじゃないか。この前、僕が変な噂を聞いたとき、好きな人だって言ってくれたって笑ってくれたじゃないか。あれは嘘だったの?」
     「嘘じゃありません。嬉しかったです。でも、私は行かねばならない。この身にため込んだ罪を祓わねば、神父としてここにいてはいけない気がするのです」
    「罪ってなに? アランはなにも悪いことしていない! 僕は綺麗で優しいアランが好きで、一生そばにいたいと思っているんだよ?」
     「私も同じ気持ちです。でも、私たちが家族でいるためには私は邪念を払わないといけないのです。分かってください……!」

     手を握りしめ、泣きそうな声を出す。自分で自分を制御できないような、こんなアランは初めてだ。

      「アラン、教会の中に入ろう。大切なことを言うから」

     裏口の扉を閉めるとすぐに、つま先立ちになってアランの頬に口づけた。

    「なっ、ユリウス!?」
     「これは親愛の口づけ。僕たち家族だからいいでしょう?」
     「でも」

     口ごもるアランの手を取って、甲に口づけた。

    「これは尊敬の気持ちから。幼い僕を助けて、今まで育ててくれてありがとう」

     背の高いアランの双眸に、迷いと困惑が見える。もしかしたら、僕の勘が当たっているかもしれない。

    「アランが好きだ。家族としてはもちろんだけど、魂がアランを望んでる。出来れば大人の恋人同士みたいに、愛し合いたい。……巡礼に行くなら、僕も付いて行く」
     「ああ、なんてことでしょう……」

     目の前で十字を切られ、少しショックを受ける。そんなに罰当たりなことを言ったつもりはないんだけど。

    「ユリウス、私はあなたから離れるために巡礼の旅に出ようとしたのです。聡いあなたには、私の考えが伝わってしまったのですね。私はあなたに好意を抱いていました。でも、それが恋愛であると気付いたのは、あなたも言うように噂の一件からです。涙を流すほどあなたが憤ってくれたこと、私を好ましく思ってくれていたこと、それに最近とても凜々しくなってきたこと。それらが私にあなたを意識させたのです」

     アランが僕を意識していた。それは、恋愛対象だと思って良いのだろうか?

    「私は悩みました。庇護すべき存在のあなたに劣情を抱いてしまった。夢の中で幾度もあなたを抱き、そのたびに闇の中に沈んでいくような気になりました。私は罪深い。神父失格です」
     「アランも、僕を抱くこと想像してくれたの!?」

     アランが日に日に愁いを帯びていったのは、自分の気持ちを罰していたせいなのか。こんなことってあるだろうか。互いに抱き抱かれたいと思っていたなんて。

    【お試し読みここまで】

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