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きらめき、ゆらめき

  • か-08 (小説|BL)
  • きらめき、ゆらめき
  • ひびき りん/イラスト:青村 朔
  • 書籍|A5
  • 148ページ
  • 800円
  • 2021/1/17(日)発行
  • 高校を舞台にした学園もの(先生×生徒)

    私立高校の数学教師・沖 克彦(23)×教え子の高校二年生・有坂 樹莉(16)。
    短編連作の形を取っています(短編10本+小話集)。分量の約1/3は高校卒業後のお話。
     中間テストの数学の成績が悪すぎて、「このままでは進級も危うい」と担任で数学担当の沖に呼び出され、補習を受けることになった有坂。
     他の生徒たちがドタキャンしたせいで一対一での補習になり、少しずつ心の距離が近づいて行く二人ですが……。


     先生がとにかく真面目一徹であれこれと悩み過ぎる人なので、本当に進みません。亀の歩みより鈍い。高校時代は完全に純愛です。


    【以下、一部抜粋】

     職員室のドアを開けて「沖先生に呼ばれました」とぼそっと言った担任クラスの生徒の姿に、沖は自席からこっちだと手招きした。
      平均に達するかどうかの身長と細身の身体に、ぴったりとは言い難いブレザー。
     (……背が伸びるのを見越して、大き目の制服を用意したんだろうな)
      沖より十センチは低いだろう彼に、ついそんな感想を抱いてしまう。もちろん、まだこの年齢ならば、これから伸びる可能性も十分あるのだが。
     「有坂。お前もうちょっと頑張らないとマズいぞ」
      しかし、有坂樹莉は沖の言葉にもまったく動じることはなかった。
      あどけないと評したくなる童顔には、アンバランスに感じるきつい瞳、引き結んだ口元。小柄なこともあるのだろうが、『可愛い』と言われているらしい有坂は、基本的には無表情で動じない印象だった。実際に、沖は彼があからさまに感情を表すところを見た覚えがない。
     「俺、勉強好きじゃないし。頭よくないのもわかってるし、大学無理そうなら就職するから別にいいです」
     「いや、就職だって大変だぞ。バイトならともかく『大学行けないから就職するか~』なんてのが通るほど世の中甘くないから。それよりなにより」
      沖は、まるで他人事のような顔の彼に、根気強く言い聞かせる。
     「お前さ、なんでそんなに余裕持っていられるのか知らないけど、進学だ就職だ以前にこのままじゃ進級も危ないんだよ。去年の担任の先生には何も言われてないのか?お前、二年に上がるのも結構ギリギリだったんだけど」
      シビアな現実を突きつけられて、さすがに有坂は動揺を見せた。
     「え、進級、って。そんな、俺そこまで……?去年……は、先生には勉強しろとか怒られた気はするけど、進級なんて聞いてない……。たぶん」
    (いや、絶対忠告はされたはずだけど、お前がなんかぐちぐち言われてるって聞き流してただけなんじゃないのか?この成績で、しかも本人にちゃんと直接指導する教員なら、進級に触れないわけないだろう)
      沖は、今更問い詰めても仕方のないことだと、それは口には出さなかったが。
     「ちょっとテストの結果が悪かっただけなら、いちいち個別に呼び出して説教なんかしない。有坂、授業もちゃんと理解できてないんじゃないのか?」
      危機感のない彼に少しでも響くようにと、沖の声も自然強くなる。
     「もちろんまだ二年になったばかりだし、今すぐどうこうなんて話じゃないけど、こんな点数が続いたら確実にアウトなんだよ。高校は義務教育じゃないからな。したくなきゃ、勉強なんてしなくていいってのはその通りだよ。いい大学に行くだけが人生じゃないんだから。でもせっかく高校来たんだから、ちゃんと卒業はした方がいいだろ?それもどうでもいいんなら、俺ももう何も言わないけどな」
      噛んで含めるような沖の言葉に、有坂は思わずといった様子で声を上げた。
     「いや俺、卒業はしたいです!」
     「だったら、もっと本腰入れて頑張らないと」
     とりあえず、やる気がないわけではないらしい有坂に。
     「他の教科は、まあよくできてるとまでは言えないけど、一応及第点は取れてるしな。あとは数学さえもう少しどうにかすれば、少なくとも進級や卒業は心配しなくていいくらいにはなるだろうから」
     有坂に限らず、こういう生徒は自分ではなかなかやる気にはならないだろう。追い込まれて自発的に火が付くようなタイプなら、ここまでの状態を放置しておくはずがないのだ。
     「放課後、補習やろうかとは思ってるんだけど、参加するか?」
      やる気があるなら、いくらでも力になる。本人にやる気があるならば。
     「それとも一人で何とかやれるか、どうする?今すぐ決めなくてもいいから、家に帰って考えてからでも──」
    「補習行きます!」
     沖が言い終わらないうちに威勢よく答えた有坂に、これなら何とか大丈夫かもな、と沖は少し安心した。

                                ●一編目『Lesson』より

    【本当に少しですが、ご参考までに】



     *中止になった一月の文フリ京都に合わせて出したものです。

     私の書くものは基本的にそうなんですが、ライトBLというのもどうかというくらいライト過ぎるBLです(そういう描写はほぼありません。そもそもこちらの作品は、描写以前に高校時代は何にも!していませんが)。
     当サークルのキャッチフレーズ通り『甘くて、ぬるくて、ハッピーエンド』(と言っている割に、何故かどれもあまり明るくない……)。

     もし、少しでも興味を持っていただけたら、どうかスペースにお立ち寄りください。
     お試し読み用に、一部抜粋のプリンタ本をご用意しています。また、番外編無料配布ペーパーもあります。

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