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庭には

  • く-35 (小説|ファンタジー・幻想文学)
  • にわには
  • 文野華影・ひじき・星野真奈美
  • 書籍|A5
  • 300円
  • 2012/11/18(日)発行
  • サークル誌第5弾

    この庭とあの庭はつながっている、そんな短編アンソロジー。


    ① にわにわとりがいる(ひじき)  

    「大丈夫なのかな」  
     ニワトリがしゃべった、ように見えた。  
     先生の庭には、一般的にイメージされるニワトリ風情の白色レグホンと茶羽根の名古屋コーチンが飼われている。昔はもっといたらしいが今はこの雌鶏二羽だけが気ままに敷地内を闊歩していた。濡縁の下に名古屋コーチ ンが通りかかったときに、その声は聞こえた。 
     「は?」 
     「おっと、耳がいいね」  
     ニワトリには小さな人がまたがっていて、私と目が合うと焦った様子も照れた風もなく自然に会釈をした。灰色の髪が風にそよぎ、白いシャツと枯葉色のズボンから出ている手足は命あるものの動きをした。丹羽さんとは、そうやって知り合った。    


    ② 秘密がある (文野 華影) 

     ああ、ねえさん。  
     夜が舞い降りるなかで、私は佇んでいる。吹きすぎる夜風。庭にそびえる、ねえさんの木。ねえさんの居ない家の中で、ねえさんそのもの。その木にむかって私は呼びかける。ああ、ねえさん。ねえさん、いつまでもこうして、ねえさんと二人佇んでいられたらよかったのに。 


    ③ 誰かになにかを伝えたい魂があるのです(星野 真奈美) 

    「あ、十三子(とみこ)ばあちゃん死んじゃったから」 
     けだるい朝に急襲を受けた十郎はトマトを取り落とし、三咲はスクランブルエッグを吹き出した。 

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