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勇者降臨トラスティブレイド2

  • く-10 (小説|ライトノベル)→配置図(eventmesh)
  • ゆうしゃこうりんとらすてぃぶれいど
  • 六神
  • 書籍|A5
  • 92ページ
  • 600円
  • 2010/08/22(日)発行
  • イノベントはどうやって人類を滅ぼそうとしているのか。 計画を探る海里たちの前にイノベントの少女シスが現れる。 その頃、機械知性体の存在を感知した世界防衛機構軍も動き始めていた。

    2016年10月全8巻完結。

     「六番の少女」

     マイキは自身の頭上高くを飛び越えた影に、歓声を上げた。

    「う、わぁっ!」

     影を身体全体で追いかけた結果、枯れた雑草の上に背中から倒れ込んだが、そんな事は気にもならない。

     太陽の中に入った影は、大きく手足を伸ばして身体をひねり、着地。両足が地面に着いた瞬間、重く鈍い音が響く。だが、音に反して軽い動きで駆け出した。

     走っているのは長身の青年。短く刈った黒髪に、赤褐色の瞳。際立った美形ではないが、顔立ちはそこそこ整っている。それが海里シンタロウの外見だった。

    「シン兄すごいや!」

     無邪気にはしゃぐマイキ。服に枯れ草や土がついたが、はらう事もせずに起き上がり、海里の後を追う。

     マイキ達がいるのは、千鳥ヶ丘市を眼下に望む山中だった。山といっても、標高でいえば一〇〇メートルもない。道も整備されているので、九歳のマイキでも散歩のレベルで登れるほどだ。

     それでも、頂上の公園へと続く石段を外れてしまえば、鬱蒼とした木々が生い茂っている。

     彼らはその、道を外れた先にいた。地元民のマイキも知らなかったのだが、林の中を進むと、ぽっかりと開けた空間があった。元は伐採した木々を一時的に保管する場所だったのだろう。草に埋もれてわかりにくいが、麓まで続く道が残されていた。

     舗装もされていない道の上に、真新しいタイヤ痕が見える。その先にある広場には、二台のクルマが停車していた。

     一台は、丸いフォルムに鮮やかな黄色の軽自動車。もう一台は、角ばった車体が特徴的な救急車。

     どちらも新車同然に見えたが、軽自動車の車種はスバル360。現在では見かける事はほとんどない車種だった。救急車も、かなり以前のモデルになる。

     そんな古い車の間を、海里は駆け抜けて行く。

    「待ってよ、シン兄ちゃん!」

     マイキはかなり遅れて彼を追いかける。それに続いて今度は「僕も行く」と、どこからか声が聞こえた。

     声に振り返ったマイキは、今しがた通り過ぎた軽自動車が動き出すのを見た。

     しかし、この場にいるのはマイキと海里の二人だけ。軽自動車の運転席には誰も乗っていない。

     スバル360は、エンジンの低い駆動音を響かせながらライトを点灯させる。そうやって車体を一度大きく震わせると、一気にばらばらになった。

     車体が外側に展開し、機械部分が露出する。現れた部品は互いを連動させながら形を組み替え、再び内部へ折りたたむと立ち上がった。

     クルマは瞬きの間に二本足で直立する。

     手足に、胴体の上には頭がある。おおむね人に近いシルエットをしたそれは、目を丸くしているマイキに向かって手を振った。

    「やぁ、マイキ」

     響く声はまだ若い。聞きようによっては少年にも取れる声をしている。

     そこに立っているのは、一般的にはロボットと呼称される存在だった。先ほどの軽自動車は人間社会に溶け込む為の擬態で、今の形態が本来の姿なのだ。

     彼らは自らをこう呼称する。

     機械知性体オリジネイターと。

     ある目的を持って地上世界に現れた彼らだったが、今、マイキに向けている態度には、任務を抜きにした親しみがあふれていた。

    「レックス!」

     マイキは歓声を上げて金属の足に飛びつく。呼ばれた黄色のオリジネイターは、少年を落とさないよう注意深く歩き、先で足を止めている海里の元へ向かう。

    「トラストも駆け回ってばかりいないで、マイキの相手をしてあげなよ」

     トラスト、そう呼ばれた海里は顔を上げる。二十歳ほどの青年だが、そのあたりの年代にある浮ついた雰囲気は微塵もない。

     そして、名前が異なっている事にはもちろん、理由がある。トラストが海里の本名で、便宜上、相対する者にはマイキが考案した方の名前を使っている。

     名前を変えたのは、その方がより人間らしいという発想からだった。

     もっとも、この愛想のなさの為、名前をもらって半月あまりになるが、未だに名乗る機会は訪れていない。


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