江戸を出奔し、新たな生活の新天地を求めて九十九里に向かう若者・新九郎は、旅の途中、椿の怪異に魅入られてしまい……。千葉県東総地域に伝わる伝承をもとにした創作怪談です。
房総に伝わる謎の妖怪伝説に着想を得た短編小説「ツンツンさま」もイラスト付きで掲載。
『バイロン本社からのここがお勧め!』
明確なメッセージ性を持たない妖異は、怖い。なぜならいつ、だれに「顕れるか」分からないから。
牡丹灯籠だったり四谷怪談は、私は怖くないのです。なぜなら彼女たちが執着する相手は決まっているから。語りを楽しみつつ、雰囲気を味わい、「怖かったね、でも、私は大丈夫」と思っていられる。
「椿の海に眠れ」の怪異は、対象者を持ちません。また、明確な意図も不明で、ただ、不意に、「訪れる」。
気がつけば絡め取られている出口のない怖さ……
味わい深い作品です。
巻末に妖異の経緯について付録がついているのも親切
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