こちらのアイテムは2026/6/21(日)開催・文学フリマ岩手11にて入手できます。
くわしくは文学フリマ岩手11公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

私のために書く手紙 vol.3

  • A-04 (ノンフィクション|エッセイ・随筆・体験記)
  • わたしのためにかくてがみ ぼりゅーむすりー
  • うみすずめ
  • 書籍|A5
  • 500円
  • 2026/6/21(日)発行
  • 新刊!文フリ岩手にて初頒布します

    自分の言葉を丁寧に集めて誰かに手紙を書くように作る散文集第三弾。

    この一年間に自分が書き残してきた文章を集めた本になりました。
    現状から抜け出せず、停滞しかしていなかった一年間だと思っていましたが
    自分が折々に残した言葉を見ると、その時々で言葉にできたこと、
    言葉にしたかったことは違ったのだと気づきました。
    また、本を作る中で10年前の大学時代が浮かび上がってきて、
    この一年間と10年前が重なり合ったような本になりました。
    もう出すあてのない手紙や、1匹の猫と過ごした幸せな2年間についてなど。


    【目次】

    ・もう出すあてのない手紙

    ・川辺にて

    ・一年分の祈り/呪い

    ・小さな自由が側にいたころの話

    ・透き通ったタイプの

     ・たたずんでいる 

     ・あとがき 

    ・筆者紹介



    【はじめに】

    私はずっと言葉と深く関わって生きてきたと思う。

    小さなころから本が側にあり、いつも物語の世界に入り込んでいた。

    大学では文芸サークルに入り、日本文学を専攻した。

    バイトは書店と図書館だった。

    初めに入った会社も書店だった。

     

    だが、私はずっと言葉が怖かった。

     

    自分の中にあるものを誰かに伝えるとき、私たちに与えられているのは主に言葉という手段だ。

    でも、自分の中にあるものを言葉に当てはめると、曖昧で自由なままふわふわと飛び回っていたものが

    言葉の輪郭に押し込められてぎゅっと固くなり、

    そこに当てはまらなかったものは味気のない砂のようにさらさらとこぼれ落ちていって、

    私はそれを見ていることしかできない。

    それが嫌で、怖くて、言葉にする前の未分化な状態のまま、大切に抱きしめているのが好きだった。

     

    それでも、言葉を使わずに生きていくことはできない。

    また、言葉にすることの恐怖を乗り越えて、自分の中に言葉を生み出したい欲求や衝動を感じることもあった。

    忘れられない昔のことを思うとき、

    大きな衝撃で自分が揺さぶられたとき、

    自分の中にずっとあったものが似合うドレスを見つけて身に纏うように、

    時間をかけて自然な形で言葉へと変化していったとき。

    自分の言葉が生まれ、溢れてくる。

     

    そのような自分の言葉たちを最も安心して生み出せている瞬間があると気づいた。

    それは手紙を書いているときだ。

    ゆっくり時間をかけながら、ペンの先から自分の言葉を生み出して、

    そっと紙の上へ乗せる。

    そして、この言葉を受け取ってくれる人へ送る。

     

    手紙を書くときのように自分の言葉を集めて本を作ろうと思った。

    自分の言葉を生むことを決して急がず、誰かに届くことを祈りながら一冊の本にする。

    そうやって散文集『私のために書く手紙』は生まれた。


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