20代の半ばに差し掛かったころからだろうか、
季節の花を見たいと思うようになった。
春が近づいてきたら梅を見て、義務感やイベントとしてでは
なく桜をのんびり見つめるためにお花見を行い、
道端の野花に目を留めて、チューリップ、バラ、あじさいなどで
季節の移ろいを感じていく。
おそらくそれは、ともすれば仕事や生活の中で
自分の心の自由な部分や感受性がすり減らされていき、
同じような毎日を繰り返して
のっぺりとした日々を送ってしまうことへの反抗だった。
何も感じない自分になって
気づかぬうちに日々が流れていくのは嫌だ。
時期によって咲く花々に目を向けることで、季節の移り変わりを感じ、
自分の過ごしている日々をきちんと捉まえて、
そのとき思ったこと、感じたことを心に留めておきたい。
道端の野花に目を留めてふっと何かを思う余裕まで
奪われたくはない。
そう思っていろいろな花を見るようになった。
そして時には写真を撮った。
記録に残さない自分の記憶も大切だけど、
花を見ることで捉まえた自分の日々を刻み込むように。
これは、日々撮った花の写真を思い返しながら、
そのとき感じたことや考えたことを綴った
日記風のエッセイ集です。