2021年に10冊だけ作った短編集『わたしたちには なやみなんてない。』
表紙と短いあとがきを新たに、改訂版として発行いたしました。
ひりひりする読み味、ちいさな棘を抜きながら描く日常がお好きな方に。
☑心の機微をすくいとるのが好き
☑痛みのある青春小説を読みたい
☑短編集が好き
☑孤独な話に惹かれる
「ほんと、たいしたことじゃないんですよ。先生」
そう言って女子高生の主人公は語り出す。
「散歩に行ってくる」と出ていったきり、帰ってこない母のこと。
姉とふたりで過ごすの日常のこと。
どこへでも行ける。 どこへでも行ってしまえ。 でも一体、どこへ?
ある家族の食卓の風景。
母から家族へと順番によそわれ、最後は雑炊になる。そういう儀式のようだった。
食べるのをやめた妹、父。 母と姉と僕は、変わらずに5人分の鍋を食らう。
あやういバランスで成り立っている、どこか不穏で歪な家族のかたち。
男子中学生の四人は、公園に集まってハルシオンを服用する。
「ハルがキタ」と笑いだす友達に、キマッたふりでついていく俺。
担任教師に呼び出されても、友達を裏切ろうなんて思わない。俺は。けっして。
農家を出ていった兄弟は、両親の他界をきっかけにそれぞれ「米」「麦」を交代で引き継ぐことにした。
米の時期には兄の夏樹が。
麦の時期には弟の冬真が。
ほんの少しのずれで壊れてしまいそうな、不確かな暮らし。