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僕らはいつだって本の虫なのサ6

  • イ-05 (小説|青春・学園)
  • ぼくらはいつだってほんのむしなのさろく
  • 志保龍彦,ねじ,ひじりあや,朝陽遥,ラトリー,蒹垂篤梓
  • 書籍|A5
  • 500円
  • 2015/9/20(日)発行
  • 今回の僕虫のテーマは作中に実在の本を登場させること。
    「僕らはいつだって本の虫なのサ」と歌いながら本をテーマにすることは今回が初。
    本を小道具にすること以外はジャンルも題材も各作者の自由。
    本の虫たちがどんな本をどのように料理するか、本をめぐる物語集の扉をぜひ開いてください。

    『魔櫻』 志保龍彦

    使用作品:『桜の森の満開の下』 坂口安吾
    二之宮高校には『人喰い桜』がある。
    どこの学校でも一つや二つはあるだろう学校の怪談。
    幽霊が出るだの神隠しに遭うだのといった奇妙な噂のある桜は、花が咲かないという。
    文芸部員の支倉千尋は、新入生勧誘の同人誌の特別号の原稿が一文字も書けないでいた。
    千尋は『人喰い桜』を題材にしようと実物の桜を見に行くが、そこで異様な光景を目撃する。
    赤味の強い花が咲いている。まるで水に溶いた血の色のような赤。 咲かずの桜が咲くとき、常世の扉が開く──。
    志保龍彦が描く少女幻想小説。

    『サンドイッチとテディベア』 ねじ

    使用作品:『変身 カフカ 
    テディベアと一緒にピクニックに行く女の子と出会った。
    なりゆきで一緒にピクニックに行くことになった私は、当然疑問に思うことがある。なぜテディベアなのだろうか。
     「彼、私の恋人なんです」と彼女は話しはじめる。二つ年上で、背が高くて痩せてて、頭がいい恋人がいた。同棲はまだしていなかったが、職場に近い彼女の家によく泊まっていた。そして、ある朝、起きたらテディベアになっていた──。
    私と彼女とテディベアになってしまった彼の、奇妙でせつない、恋愛の物語。

    『魔法が生まれるとき』 ひじりあや

    使用作品:『魔女の宅急便』『ファンタジーが生まれるとき』 角野栄子  
    海がみたくなって鎌倉を訪れたあたしは、偶然にも桃香さんと再会する。
    京訛りの言葉を話す滋賀県在住の大学生である桃香さんは、姿を消した恋人を捜していた。その恋人は中学三年生の年下の少女。
    何の前触れもいなくなった少女は、ブログに龍恋の鐘の写真をあげていた。龍恋の鐘──江ノ島にある恋人の丘は、桃香さんと恋人の少女の思い出の地。そのブログの記事だけを頼りに、桃香さんとあたしは彼女を捜す。
    ほんの少しだけミステリの要素もある、恋と魔法と鎌倉の物語。

    『ひとり』 朝陽遥

    使用作品:『ヘッセ詩集』高橋健二訳から『霧の中』  ヘッセ
    律子の左手の小指はほんの少し外側に曲がっていた。
    小指が曲がっている理由を確かめたことはない。生まれつきなのか、骨の病気か、あるいはもっと分かりやすい理由か。たとえば父親か、前の男に振るわれた暴力のために、折れて歪んだままになっているか。その類いの挿話が似合う女だった。
    俺もろくでもない男だったが、何食わぬ顔で女を粗末にしつづけられているほどには露悪趣味でもなかったが……。
    その律子が短い書き置きひとつ残して、俺の部屋を出ていった。俺と小指の曲がった律子の出会いと別れとその後の物語。

    『虹の原色』 ラトリー

    使用作品:『ラパチー二の娘』『緋文字』 ホーソーン, 『オリエント急行の殺人』 アガサ・クリスティ 他
    名前に色がある少年、明堂陸。「み」ょう「ど」う「り」くで「みどり」。
    その陸は晴人にも色のある名前だという。横井晴人。漢字を分解して「黄」と「青」。混ぜると緑になる色を持ち合わせる晴人。
    自称絵本作家である陸の母親もまた色を持つ名前だった。結婚する前の名前は村木亜紗香、アナグラムで赤紫となる。
    アガサ・クリスティをきっかけに親しくなった陸と晴人。陸はある日、母親の絵本を晴人に勧める。ホーソーンの『ラパチーニの娘』を絵本にしたもの。「紫の宝石」がもたらす、救いのない悲しい物語。
    虹の原色をもつ人々が織りなす、苦く切ない青春ミステリ。

    『ジモケン! ~金魚使いのfundamentalな活躍~』 蒹垂篤梓

    使用作品:『僕らはいつだって本の虫なのサ4』  
    金魚使いの紗科咲は、衣服を纏わない女性の幽霊と出会う。自分が幽霊だと自覚はあるものの、悲壮感のないお気楽な幽霊。
    咲が幽霊と出会っている頃、世間はロックバンド" B - J a d e "のヴォーカリストY U N Aの失踪の話題で持ちきりだった。伝説のギタリストの隠し子とも噂されるY U N A。
    そのY U N Aにそっくりな女性が、咲の目の前にいる。彼女はY U N A──柚那の双子の姉の水那だと名乗る。
    『僕らはいつだって本の虫なのサ4』を下敷きに、僕虫4を知らない読者でも楽しめるよう独自に物語を再構築し、美しい文体で軽やかに読ませるライトノベル。

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