【はじめに】
◆古典の不要論が語られるようになって、久しく感じます。それは、中学・高校の漢文についても、同じです。その漢文分野の教科書では、私の世代以降、自分の高校時代の思い出と、成人してから高校で教鞭をとった記憶によれば、漢詩や諸子百家だけではなく、『史記』の項羽と劉邦の楚漢戦争から「四面楚歌」の場面が掲載されていました。
◆筆者は、じわじわと国際的影響力を、ますます、増してきている中国について、連綿と続いてきたその歴史を再び、学ぶ意義があると考えたのでした。それは、現在進行形の国際情勢を眺めるという意味において、中高の古典分野の漢文訓読を主とした手法で、中国の王朝ごとのオフィシャルな歴史書であり『史記』を含む「正史」を読み直す契機と捉えることができるのではないか?と思われます。
◆そこで今回は、高校の漢文以来となる人も多いと思われる中国の正史について、本誌を再学習するための入門的なブックレットと位置づけました。その主な内容は、主に漢文の訓読による「読み直し」に重きを置いています。もし、読者の方々が『史記』をはじめ、『漢書』や『三国志』等を読もうとした時の道標として頂ければ、幸いです。
◆また、最後のほうには、本格的な中国史の研究入門書のレビューを置きました。高校の漢文以上のレベルで正史を学びたくなった方には、ぜひ、そちらで学を深めてもらえたら、幸いです。
【特集】中国の「正史」を読み直す
◆序、「正史」の基礎知識
◆「正史」入門者向け『十八史略』や 明治書院「新釈漢文大系」他で漢文に慣れる~続・古文や漢文をもう一度~
◆主に歴史書を読む場合の漢文訓読の参考書は何がよいのか~続々と古文や漢文をもう一度~
◆中国史研究をする人へのスタンダードな入門書~礪波護・岸本美緒・杉山正明編『中国歴史研究入門』~