*文フリ福岡初売り【あらすじ】
「戦場の女神」サン・セヴァチェリンの王女シトリューカは、
味方の裏切りによって帝国に囚われ、
最愛の人ヨナディオ王子を殺した将軍シャルルとの結婚を強いられる。
シャルルとは互いに憎み合い、幽閉同然の生活に
絶望していたシトリューカの下に、城下からある噂が届く。
「帝都に、ヨナディオ王子に生き写しの吟遊詩人が現れた」と……。
満月の夜ごとに照らし出される、愛憎と群像のロマン。
***
アワノの最新長編はこちらです。
むかし「真珠夫人」が流行った頃に思いついたけど放置していた
お昼のメロドラマ的ファンタジーです。
たわしコロッケは出てきません。
第8回テキレボアンソロに本編の一場面を抜粋加工したものを投稿しています。
試し読み代わりにどうぞ。
『ムーンライト・ミンストレル』より「花の彩るいつわりの契り」 かねてからお世話になっている
鉄子さんに装画をお願いしています。
13年ほど過去の自分が作った今よりも未熟な設定を見返しながら、
懐かしみつつ(時にはキレつつ)書きました。
年齢制限するほどではないと思いますが暴力・流血・性描写が含まれます。
(一般文芸として許容されるレベルとお考えください)
人はけっこうしっかり死にます。
愛憎劇はドロドロというほどではありませんがシャバシャバぐらいはしています(?)
苦手な方はお気をつけください。
政略結婚・三角(何角?)関係・群像劇などの要素が含まれます。
得意な方はお友達になってください。
これまでにいただいた感想などはこちら→
Twitterモーメント※多少ネタバレを含みます
絡み合いぶつかり合う登場人物たちの関係性に着目していただくことが多いようです(たぶん)
感想くださった皆さまありがとうございます~!
【バイロン本社からのここがお勧め!】 その関係は、だれも幸福にしない。場合によっては当事者でさえ。 けれど、彼らが生きてゆくためには、その歪んだ関係が必要なのだ……
「ムーンライト・ミンストレル」には、そんな関係が凝縮されている。 婚約者ヨナディオを殺されたシトリューカは望まず娶(めあわ)された敵将シャルルを憎むことによって心の支えとしている。 あるいは、シャルルと皇帝ギオンとの関係。 吟遊詩人クロワとシトリューカとの関係。 シャルルの側室ディエナとシトリューカの関係。 ギオーク帝国民と、皇室の関係。 帝国と属国の関係。 複雑に絡み合い、もつれた彼らの関係は、容易には解きほぐせない。 だれもが抜け出せず、だれもが望んでいない先に墜ちてゆく……そんな重苦しさで始まった物語は、しかし、シトリューカの「犠牲を少なくしつつ、勝利する」という自身の軍略の才によってすこしずつ動き出す。 自分自身を含めて、歪んだ関係に縋るのではなく『みながよりよく生きられる』場所に向かって、彼女は必死に、虜囚の身の自分ができることを考える。 それは彼女の順良な生い立ち、婚約者ヨナディオとのまろやかな愛に育まれた素直さだろうか。 一方、シャルルは歪みに歪みを積み上げた人生から、抜け出せない。 シトリューカのありように光を見つつも、それを目指せない。 シトリューカもまた、ヨナディオに生き写しの吟遊詩人クロワの歌声に心乱される。 憎しみから始まる物語がどこに向かってゆくのか。 絡み合う歪んだ関係を解きほぐす手立ては存在するのか。 シトリューカの『愛』は成就するのか。 そして、風雲急を告げる帝国の危機において、最後の最後までシトリューカの指し示す『よりよく生きる』手立てを拒絶するシャルルに、救いはあるのか……
満月に導かれた人びとの、変転の物語。 シトリューカの成し遂げたこと、成し遂げられなかったこと、彼女のゆくすえ……最後の最後まで、作者の語りに目が離せない物語。