2匹のチンパンジーとカラス
- 南1-2ホール | M-43 (小説|純文学)
- にひきのちんぱんじーとからす
- 肩丘 灯
- 1,000円
タバコがうまくて酒はまずくて、ちくわばかり食べていた、青春にもならないわたしとタローと山田の日々。
冒頭
「タローは吐きまくっていた。私は後ろから40デニールのストッキングを履いた足を背中に乗せ上下に動かしていた。タローはいつも飲みすぎて吐いていた。おかげで私は藤沢の南口の飲み屋街のどの電信柱のちかくに溝蓋があるのかを今でも覚えている。その日もタローは私のみつけた横溝に吐いていたけど、なぜか途中から横溝を避けて道路に出していた。
タローのグレーのパーカーのうえに置いた足の指をぱくっと開くとストッキングが伸びて私の皮膚の色がちょっとだけ見えた。背中ががくがくしたので私はもっと強くおすために足指をまた閉じて、踵をつけたまま、足の裏の上の方でぽんぽんとたたくようにした。
なにかを入れ込むように。なんだったんだろう、私はよくそれをタローにした。足裏からタローの温かい背中裏に、なんかがぽんぽん飛び込んでいく。午前三時。はなちゃん、ありがとねえ、とタローの泣きそうな声が聞こえてきた。タローの鼻声。タローの涙。」
