タイムスリップスリーパー
- 南1-2ホール | P-53 (小説|純文学)
- たいむすりっぷすりーぱー
- 八重土竜
- 書籍|A5
- 16ページ
- 200円
- A 5/折本
皆さん、もちろんご存じのこととは思うが、人間は眠っている間にタイムスリップができる。
不眠症を抱える私には、特に季節の変わり目は大敵だ。何を着たらいいのかわからない、着れば暑いし、脱げば寒い。布団もまたしかりで、かければ暑いし、はがせば寒い。もう、どうしてよいのかわからない。 毎季ごとに、自律神経とかいうわけのわからぬ体の構造に翻弄され、振り回されてねむれないのだ。 もちろん、より良い睡眠のためにいろいろと試した。 そこは疑わないでほしい。やれ、野菜中心の食生活だの、日中の適度な運動だの、眠れる枕だの、重みのある毛布 だの、毎日の入浴に、就寝前の白湯、アロマオイルに、ヒーリングミュージック、眠れるツボ。何でも試した。 もちろん眠れない。睡眠薬も、もちろん数種類試したものだ。あれは効くときと効かないときがある。心持の問 題だ。 目を閉じて、横になっているだけでも体は休まっているとか、慰めの言葉をかけられたこともあった。だが、私は眠りたいのだ。休みたいわけではない。 今も瞼の裏をじっと眺めている。 テレビ放送の砂嵐をもっと暗くしたような、小さな動きがずっとある。
本文抜粋
