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土鍋いっぱいのシャブ

  • 南1-2ホール | P-53 (小説|純文学)
  • どなべいっぱいのしゃぶ
  • 八重土竜
  • 書籍|B6
  • 18ページ
  • 200円
  • B 6/折本


    土鍋いっぱいの白米を、炊いたつもりだったのにーー


    自慢ではないが、そこそこの回数の引っ越しをしている。その中で、に相当する部屋で『許せぬキッチン』を何度目にしたことだろうか。 貧相な一口コンロに、四十センチ四方のおもちゃのようなシンク。一食分の食器で満載になってしまうそのシンクは、もちろん排水機能もないに等しかった。カップラーメンの残り汁を流そうものならすぐに流れが悪くなった。だから、飲み干さざるを得なかった。 あれのせいで五キロは太ったはずだ。 もちろん作業用の台などというたいそうなものは存在しないので、私はまな板をシンクにわたして使用していた。 1kの記載をするアリバイを作るためだけの、あのキッチン擬きが許せないのだ。あれは断じてキッチンではない。よしんば給湯室である。そんなところで料理など夢のまた夢であっただろう。 余程のバカが設計したとしか考えられない。設計者の上司も何も言わなかったのだろうか。バカはバカが育てるのか。馬鹿馬鹿しい。 長々とバカのキッチンについて書き述べたが、全く今後の話には関係ない。読み飛ばしていただいても構わない。 なにせ、私の新居には胸を張ってキッチンと呼べる代物が備わってたのだから。

    さっそく土鍋一杯のシャブの話をしたいと思う。

    本文抜粋

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