【概要】
金は、本当にあった。ただし、金の夢をかなえた人は、ごく一部だった。
ゴールドラッシュに身を投じた無名の採金者二十四人の手記と記録(史実)をたどる旅行記。巻末には、当時の東部の人が読めた情報だけで書いた、渡航ガイドが付く。
【あらすじ】
一八四八年、カリフォルニアで金が見つかり、翌年には米国だけでなく世界中から人々が押し寄せた。靴職人、印刷工、医師、弁護士、そして女性たちも。生活を捨てるほどの必然性はなかったのに、なぜ彼らは噂と報道を信じて西へ向かったのか。現地で金が取れないことが分かってからも、なぜすぐには帰らなかったのか。
本編は、採金者二十四人(女性三人を含む)の手記や記録(史実)をもとに、出発、航海、砂漠越え、キャンプの暮らし、ダム事業の失敗、転身、帰郷までを時系列でたどる。新品のシルクハットを仲間にボロボロにされた男、「近道」を選んで砂漠を倍以上歩いた男、金鉱の朝の挨拶は「昨夜は何匹ノミを捕まえたか」。笑ってしまう場面も、数多く拾った。
【構成】
序章:公文書、新聞記事、発見者たちの証言を、日付と場所だけで切り替える断章で並べる。大統領が金鉱の存在を公式に認めた三日後、陸軍長官は造幣局に「疑わしいとの意見もあります」と書いていた。発見の日付も、本人は「一月十九日」、カリフォルニア州の公式は「一月二十四日」と食い違う。
登場人物:巻頭に一覧を置いた。途中で誰だったか分からなくなっても、戻って確かめられる。
エピローグ:発見者の物語、「金を掘るよりシャベルを売れ」という教訓、ウェルズ・ファーゴやリーヴァイスの創業神話が、どう語り直され、定着したのかを、同時代の記録と照らして確かめる。道具を買い占めて儲けた、という記録は、同時代の資料に見当たらない。噂は大げさでも、そこから生まれた現実は本物だった。
あとがき:冒頭の問いに、著者なりの答えを書いた。
【付録】
架空ガイドブック 地理風土、交通手段(海路、陸路)の選択、装備、現地生活、採金作業など当時の情報と
一八四九年の出来事を織り込み、一八五〇年刊行を仮定した渡航ガイド。本編の人々が出発前に何を知り、何を知らなかったかを、読み比べられる。
【こんな方に】
歴史の一次史料が好きな方、噂や報道が人を動かす仕組みに興味がある方、事実から神話がどう作られるのかを見たい方、前作『バーナムの悪だくみ』の読者に。
【仕様】
A5判・縦組み・152ページ/会場特別価格1,000円
【試し読み】
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