◆この本について
~映画「グレイテストショーマン」のモデル~
「人は騙されていると知りながら、なぜバーナムの嘘に列をなしたのか」
ドッキリ番組・フェイクニュースの源流がここに。
アメリカの興行師P.T.バーナムの本邦初の本格評伝。自称"ペテンの王子様"、ウソをビジネスに変えた男の足跡をたどる。
下巻では、博物館の畸人・芸人たち、南北戦争期の博物館の火事、そしてサーカス団の結成から晩年までを描く。
◆全巻(バーナムの生涯)のあらすじ
P.T.バーナムは十九世紀のアメリカのコネチカットに生まれ、小売店で大人たちのほら話に鍛えられた。ニューヨークに出てペテンに騙されながら興行の世界に入る。やがてフェイクニュースを元に娯楽イベントを仕掛け評判を得ていった。最初の成功はジョイス・ヘス。百六十一歳、ワシントン大統領の乳母。次の成功は「フィジーの人魚」。偽物なのは明らかだった。
共通する手口は、最初に新聞の記事や権威によって見世物の対象が大変価値があって必見だとの情報をばらまく。ネタがばれてしまいそうになると、それを擁護する噂を流す一方で、インチキだとの情報を自ら流布する。市民にことの真偽を見届けたいと思わせるような操作を繰り返す。最後は本人も騙されたのだと言い訳する。
やがて博物館を買い取って総合型の娯楽施設に作り変えた。小人のチャーリーを発掘するとトム将軍と命名して欧州巡業に出かけヴィクトリア女王に謁見する。当初はトム将軍に見向きもしなかった英国市民も王室での評判を聞くとトム将軍を見ようと劇場に殺到した。帰国したバーナムはスウェーデンのオペラ歌手のジェニー・リンドのアメリカ招致に成功する。
南北戦争の時期、博物館は幾度かの火事にみまわれて終焉を余儀なくされる。興行師として成功したバーナムはさまざまなビジネスに手を出し、自らは自己破産するような失敗にもあっている。再起後のバーナムは、パートナーとの連携と離反を繰り返しつつ、見世物を加えた新しい興行形態のサーカスを考え出し、全米で最大かつ圧倒的な人気を得るに至った。
◆読みどころ
嘘が商売になる仕組み:新聞記事や権威のコメントで「必見」と煽り、ばれそうになれば擁護とインチキの両方の噂を自ら流し、市民に真偽を確かめたいと思わせる。ドッキリ番組やフェイクニュースの源流にある、人心操作の手口を読み解きます。
騙した側と騙された側、両方の席に座れる:〈市民が見聞きしたこと〉は当時の新聞記事から、〈バーナムが語ったこと〉は自伝から構成し、記録に残らない部分は研究者の文献をもとに解説しました。解説付きの新聞スクラップブックとして楽しめます。
下巻の読みどころ:アメリカ博物館には、大男や大女、髭の生えた女性、シャム兄弟など多彩な畸人・芸人たちが集まった。しかし博物館は火事に見舞われて終焉を迎える。再起したバーナムは、パートナーとの連携と離反を繰り返しながら、見世物を加えた新しい興行形態のサーカスを考え出す。グリズリー・アダムズや象のジャンボも登場するサーカス団が、全米一になるまでと、晩年の日々を追う。バーナム自身が語った自伝にも一章を割き、〈バーナムが語ったこと〉の全体像を確かめる。
読み終えたとき、日々目にする「必見」の見出しが、少し違って見えるはずです。
◆目次
第十章 博物館の畸人・芸人/第十一章 博物館の火事/第十二章 バーナム自伝/第十三章 バーナムのサーカス団/第十四章 晩年の日々/あとがき
◆登場する芸人と興行
ウィリアム・ヘンリー・ジョンソン、マキシモとバルトラ、シャム兄弟、アンナ・スワン(大女)、ジャン・アントワーヌ・ジョセフ・ビヒン(大男)、スケルトンマン、チェルケスの美女、アニー・ジョーンズ(髭の生えた女性)、犬の顔をした少年、「ローマ式競技場」ヒポテアトロン、グリズリー・アダムズ、象のジャンボ、博物館の火事
◆仕様
A5判・縦組み・200ページ/会場特別価格2,000円