これは、場所とそこに集う人々の物語。
2009年、新宿。物理学者になる道を断たれた会社員・三輪剛也は、河川敷の野外レイヴで出会った男に誘われ、靖国通りの外れにある地下のロックバーへ迷い込む。爆音、DJ、原液のテキーラ、朝まで踊りつづける常連たち——。
全46断片。各断片の冒頭には、
四月十一日(土)16:27 快晴
のように、日付・時刻・天気だけが記されています。
あらすじの説明や場面のつなぎを極力省き、読者はその都度、すでに進行している場面へ放り込まれます。地の文は複数の人物の意識を出入りしながら、店に集まる人々の会話、仕事、恋愛、蘊蓄、酩酊、SNS上の言葉までを拾っていきます。
全編に実在のロックが流れます。リバティーンズ、クラッシュ、ストロークス、キンクス、MGMT——。2009年のダンスフロアで鳴っていた曲が、選曲の流れごと小説に書き込まれています。
冒頭は、こう始まります。
四月十一日(土)16:27 快晴
まばらに雲があるばかりの晴れ上がった空から降り注ぐ西日を一面に受けてきらきら輝く川面に目をやり、なぜだか心がざわついて、三輪剛也は顔を右に向けた。
断片と断片をつなぎながら、ひとつの店と、そこに属そうとする人々の輪郭を読者自身が組み立てていく長編小説です。
ロック、クラブ、場所の記憶、そして断片的な語りに惹かれる方へ。
冒頭からnoteで試し読みを公開しています。
https://note.com/sekizawa_teppei/n/nad5ee2e6ca1a