過去作から選りすぐりの文章を集め、一部加筆修正も実施した、まさに「ベスト盤」です。
「ミステリ評論集団」不毛連盟の8年間を凝縮したラインアップとなっております。
初めて目にする方も、これまで存在は知っていたけれど何なのかよく分からなかった方も…この機会にぜひ!
▼収録内容
個人評論①荒岸来穂「多重解決というゲームの中で――ゲーム的多重解決ミステリ試論 増補版」
テン年代以降の新たな形式の多重解決ミステリを「ゲーム的多重解決ミステリ」と名づけた2018年の論稿に、2020年以降に刊行された作品の分析も追加し、この十年の現代本格の潮流を読み解く増補版。
個人評論②川口士「もはや彼岸の少女たち アペンド」
「時間を排除した」とさえ語られる日常系のイモータルな少女たちが死を取り戻すための、たった0つの冴えたやり方を『リコリス・リコイル』から分析する。アペンド部分では怪作『+チック姉さん』を日常系的視点から語り損ねます。
個人評論③用B「重なる音と、七百枚の原稿用紙と、私の歌」誰かの可能性を潰す恐怖を超克する方法はあるか。法月綸太郎『ノーカット版 密閉教室』と、30年後のOfficial髭男dismにリフレインされた、ある銀行員の失敗。そして2022年に掬い上げられた「私の歌」。これらから考えてみる。
個人評論④髙埜一木「ヤクザ・オブ・ザ・デッド――ヤクザはゾンビかヒーローか」 『仁義の墓場』に描かれた一人のやくざの破滅に焦点をあてながら、昨今のやくざ表象の変化について考える。
個人評論⑤マキノ猶一「わたしたちはなにも大丈夫ではないです――デモクラティックな個別のあり方と全体とのコミュニケーションについて」新海誠『天気の子』、GAINAX『放課後のプレアデス』、春ねむり『春と修羅』。2010年代のアニメや音楽、創作をもとに考えた社会全体と個別の在り方について。
個人評論⑥江永泉「不法的推理――平成期日本の事例」ポスト・トゥルース時代におけるミステリの楽しみとは何か。でっちあげのデタラメな推理、くだらなくて犯罪的な推理、もう救いがあるのかないのかわからない最悪な推理。本格ミステリの正道の外にあるかもしれない邪道なそれらの、力を吟味する。
特別企画:秋好亮平・荒岸来穂・江永泉「平成ミステリ批評史を振り返る――『本格ミステリの現在』読書会」新本格以降のミステリ批評の論点とは? 笠井潔のもたらした「磁場」とは? ゼロ年代批評との関係とは? 平成生まれの3人が平成ミステリ批評の名著を読み直し、語り直した読書会記録。