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ジショカツ彙報 第2号

  • 南3-4ホール | け-53 (評論・研究|出版)
  • じしょかついほう だいにごう
  • 西練馬ほか
  • 書籍|A5
  • 92ページ
  • 1,000円
  • https://note.com/nishinerima/…
  • 2026/5/4(月)発行
  • 辞書そのものや辞書学的評論、辞書周辺の活動、そして辞書を題材にとった小説まで、辞書に関わるさまざまな文章を収めています。
    第2号の特集テーマは、ずばり「2」。
    意味の二面性、2語の比較、ふたりの出会い、2言語の意味の重なり、二項対立……。さまざまな「2」を手がかりに辞書とことばの世界に飛び込む7篇を収めました。ことばや文字の好きな方にぜひお届けしたい内容です。

    【『ジショカツ彙報』第2号目次】

    巻頭言  西練馬
    執筆者自己紹介
    〔インタビュー〕「辞書尚友」のできるまで ―辞書界隈を駆け抜ける2人の接触と爆発―  西練馬(聞き手・構成)
    「恋愛」と「恋」の違いを、国語辞典を見ながら考える。  what
    2つの顔を持つ言葉 ―外来語の偶然衝突―  うさ学
    英和辞典に「意味」は書かれていない? ―英単語のホントの「意味」の調べ方―  Miwa TEA
    名称を中心に見る中国近現代辞書学史①  Meme-Meme
    「辞書=かがみ論」論  西練馬
    天体観測  ハコサト
    ~~~本文より~~~

    巻頭言

    無事に『ジショカツ彙報(いほう)』の続刊をお届けすることができた。第2 号にかこつけて、本誌は「2」を特集テーマとした。意味の二面性を思案するものや、2 語を取り上げて比較するものから、辞書の要素を二分して掘り下げるものまで、多岐にわたる7本の記事が集まった。前号よりページ数こそ少ないが、負けず劣らずのバラエティに富む内容になった。いずれも「辞書に関する評論の進展」という本誌の発刊目的に大きく貢献する記事ばかりだと信じている。掲載順に簡単に紹介する。

    先頭の記事は、ふずく氏・Lakka26 氏のインタビューである(p.7)。西練馬が聞き手を務めたこのインタビューで快活にことばを交わす両氏は、今や業界で知らない人のいない学生団体「辞書尚友(しょうゆう)」の発起人である。前号の巻頭言でも触れた若い辞書沼の台風の目に、サークルの誕生と成長にかける思いを大いに語っていただいた。

    今回新たに執筆メンバーに加わっていただいたwhat 氏(p.33)は、「恋愛/恋」の2つの語について、辞書を片手に考察を深める。辞書を読む面白さを紹介する際に「恋愛」はとかく俎上に載せられがちであるが、本稿は単に「面白い」で済ませない。一歩踏み込んで多数の辞書を比較検討し、違和感を追いかけ、2語の違いを浮き彫りにする。

    うさ学氏(p.39)は、異なる意味の別語が同じ語形のもとに収まってしまった「偶然衝突語」について考えをめぐらせる。言語体系の制約のもと、語形の枠に図らずも同席することになった無関係な意味たち。その多さと性質の多様さに意外性がある。豊富な例とともに言語の醍醐味を感じさせるだけでなく、辞書が同形語を取り扱ううえでの問題点も見える。

    Miwa TEA 氏(p.51)は、日本人にとって代表的な2 言語辞書である英和辞書のあり方を解き明かす。学校生活などを通じて英和辞書に触れない人はないが、さて、私たちはその基本的な性質を理解した上で辞書を使えているのだろうか。英和辞書を通じて「英語の意味/日本語の意味」のあり方を考える本記事は、語学力の向上を目指す人にとっても有益である。

    Meme-Meme 氏(p.59)は、前号に続き中国辞書学の事情を報告する。英語のlexicography(辞書学、辞書編纂術)はギリシャ語から17 世紀に借用されたが、中国語「辭典學」はロシア語からの訳語として生まれたという。日本人にも馴染みがあるとは言えない辞書学なる分野の名称を、隣国の先人たちがいかにして「詞典學/辭書學」として定着させていったか、文献から読み解いてゆく。

    西練馬(p.65)は、古今東西の辞書業界において半ば当然視されてきた「記述/規範」の対立を疑う。辞書はことばの「鏡」であり「鑑」でもあるという両義性を説く「辞書=かがみ論」は、『三省堂国語辞典』が理念として掲げて久しく、また辞書業界にもよく受け入れられている。その読み解き方を疑い、伝統的な二項対立の解体を試みた。

    最後に、ハコサト氏(p.85)は、前号と同じく小説を媒体に辞書を綴る。「手に届くもの/届かないもの」を軸とする視座が生新である。天気予報・乗換案内そして写真という、一見辞書と関わりがないかに思える物事を同じフレームに収め、類似と相違を捉える。交錯する叙述と文体が爽やかな余韻を残しつつも、日本の辞書がなぜか不問に付したままの今日的課題がはっきりと突きつけられる。

    昨年6月のコミティアで発行した創刊号はちょうど半年で初刷を完売し、増刷に至った。好調かつ好評な出だしは、私どもにとって誠によろこばしく、ありがたいことであった。
    本誌が前号で宣言した通りに続刊にこぎつけられたのは望外の喜びである。どの辞書を引いても「雑誌」項は「定期的に出す」と語釈される。今号の実現をもって、本誌はようやく名実ともに「雑誌」の仲間入りを果たしたといえよう。執筆陣をはじめとする関係各位にはこの場を借りて感謝する。
    また、本誌創刊号をイベントや店頭・通販でお買い求めくださった方々、各所で取り上げてくださった方々にも、深くお礼を申し上げる。コミティア、文学フリマ、コミケといった場で本誌を手売りしていると、大変うれしいお声がけをいただくことがある。辞書の趣味なるものがあるのか、そして辞書のサークルや同人誌なるものがあるのかと驚かれたり、辞書沼の住人でない方々が自身の興味・関心との接点を見出して、あるいは家族・友人へのおみやげに手に取って行かれたりする。SNS の# ジショカツ彙報 タグで購入報告や感想を上げてくださった方、メディア等の記事で紹介してくださった方も多く、感謝に堪えない。お読みいただいた方々の反応のすべては本誌を継続する強力な後押しになっている。
    第2号も、皆さんのおかげで出来上がりました。お楽しみください。

    『ジショカツ彙報』編集・制作 西練馬
    2026 年4 月吉日

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