自分の物語を綴るうちに、しばらく離れていた場所へ、 もう一度、帰っていくような感覚がありました。
そんな実体験を対話形式の物語にしてみました。
仕事に追われる日々の中で、 「何かを書きたい」という気持ちだけが、ずっと胸の奥に残っている。 そんな夜を過ごしている人に、お届けしたい一冊です。
※紙書籍版は表紙は用紙が【りんどう】です。
『アドラーは、バーにいる。』は、仕事帰りの男性が、バー「クロフネ」で ジュニアと名乗る謎めいた青年と出会うところから始まります。
心理学を学んでいるという青年は、主人公にひとつの宿題を出します。
――「140字小説を、毎週ひとつ書いてくること」。
それは、うまく書くための課題ではありません。
長い言葉ではごまかせない、自分自身と向き合うための短さでした。
毎週提出される140字の小説を通して、主人公は 過去の記憶や、言葉にならなかった感情に、 少しずつ触れていきます。
物語の対話には、アドラー心理学の視点を静かに織り込みました。
他者は変えられないこと。
そして、自分の物語をどう生きるかは 「自分で選べる」ということ……。
本作の中に登場する「140字小説」は、 同人活動を本格化する前に、 私(ククトニアン)が実際に書いていたものです。
140字という小さな一歩でした。
けれど、文学フリマで作品として出したことで、 自分の中で、止まっていた何かが動き出しました。
なぜ、あのとき書いたのか。 なぜ、あれが次につながったのか。
その問いを、客観的に見つめ直し、 対話形式の物語として再構成したのが、この『アドラーは、バーにいる。』です。
副題は 「140字の小説が、あなたの勇気になる」 としました。
ここでいう《勇気》とは、何かを大きく変えることではありません。
自分の物語を、自分で選び直すための、ほんの小さな《勇気》です。
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