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ベンガルまで飛んでいった傘

  • 南3-4ホール | う-34 (詩歌|現代詩・散文詩)
  • べんがるまでとんでいったかさ
  • 諸戸 琴環
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 150ページ
  • 1,200円
  • ---

    🌂 骨と傘と、ベンガルと

    傘が飛んでいった。

    裏返ったまま、骨だけで、きっとベンガルあたりまで。

    拾った人は、そのまま飛行機に乗った。窓から、ビューロとウィッグとパウダーパフとシャム猫が捨てられた。それぞれ渓谷に、牧場に、劇場に、キャンプファイヤーに飛び込んだ。雨あがりの水溜りに、拾えなかった視線と主語が沈んでいく。ぽちゃんと音がした。

    触れられなかったものの重さを、どこに置いたらいいかわからないまま、詩になった。誰も引き取らないまま消えていく熱を、悼むためじゃなく、確かにあったという別の形に移し替えようとする詩集。骨組みだけになっても、傘は飛んでいける。

    壊れかけたものの方が、遠くまで行けるから──

    死んだ詩人のオーブン、骨雪のケーキ、ポールに引っかかったままの赤いピンヒール。

    円が重なるとき、世界はほんの一瞬やわらかくなる。

    🌂🌂🌂

    わたしは──
    あなたの知らない土地

    ーー『ベンガルまで飛んでいった傘』より

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