こちらのアイテムは2026/5/4(月)開催・文学フリマ東京42にて入手できます。
くわしくは文学フリマ東京42公式Webサイトをご覧ください。

Gaumarjos!

  • 南3-4ホール | ね-33〜34 (小説|エンタメ・大衆小説)
  • がうまるじょす
  • 数田百恵
  • 書籍|その他
  • 105ページ
  • 2,200円
  • https://yokikotokiku.org/
  • 2026/1/15(木)発行
  • Gaumarjos!
    カズタモモエ

    〈目次〉
    たまご
    BIG FLOWER WAR
    Gaumarjos!
    辰砂

    〈試し読み〉
    BIG FLOWER WAR

    《低温夢》

     水の流れに漂う青年の体。

    循環機能を復旧させている音を叩いている機器類。わずかに高まった心拍と共に、電子パルスが水中を震わせた。

    ゆらゆらと青年の体は、おびただしい気泡を生じさせながら、漂っている。

    水中――バスタブのような、水槽。

     全身凍結保存からの蘇生。通称「極低温スリープ」は、理論上、細胞内の氷晶形成最小限に抑え、組織損傷を防ぐ技術だ。だが、いくら理論値を重ねても、現実の蘇生率は三十パーセントを超えない。

     つまり、十人凍らせておいて、まともに目を覚ますのは三人。

     とかいいながら、こんな奇特なことやるやつなんて、ほとんどいない。

    「ラッシュ、早く起きろよ」

     それでも、賭ける価値があると思えるようになったのは、つい最近の話だ。というより、誰かが死ぬか死にかけた後じゃなきゃ、こんな装置使う気にもならない。

     残り七十パーセントの死者たちと同じように、彼の命も水に溶けようとしている。

     すでに、超低温から解凍されたその体は、ナノ流体に満たされた再生水槽の中で、静かに循環系の再始動を待っていた。

     皮膚には白金触媒を組み込んだナノボット郡が編み込まれている。極小サイズの自己駆動型ボットは、血管壁に沿って泳ぎながら、毛細血管の再接続と神経修復に従事していた。マクロファージの形態を模しているが、性能は足元にも及ばない。未だに誤作動率が高いし、免疫系と干渉すると拒絶反応を起こすリスクもある。

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