ぼくの友達が壊れてしまった。突然のことだった。――「真夏のバナナフィッシュ」
「あんたって大変態だよね」そいつは、俺の目の前で言い放った。――「あんたって大変態だよね」
町の端っこに古びた家があった。誰が住んでいるか、町に住む誰もが知らなかった。「カミ」
おもしろいはなしを考えたんだ、おかあさん、きいて。――「お母さん、聞いて」
気づけば私は教室に一人取り残されていた。どうやら寝てしまったみたいだ。――「アスファルト」
ライラは森の中で目を覚ました。大木の根元は、長い時間かけて膨らんだ根っこで大地が盛り上がり、土が柔らかくなっていた。――「ライラ」
長い間、地下鉄に乗っていると、自分が地底人か何かのような気がしてくる。窓から覗くのは一面壁ばかり。――「唾液」
顔のいい女と付き合いたいとかなんとかのたまっている諸君には絶対に理解してもらえないだろうが、私は、食べ終わったポテトチップスの袋をたたむ彼女が好きなのだ。――「ポテトチップスの袋を畳む女」
宇宙の現象は実に多様だ。読者の皆様は、今日もどこかで一マイクロ秒のうちに、ビッグバンが少なくとも十の三千乗回は起こっていることを知っておられるだろうか。――「イジュジュンムの性交」
どこかで一人の男が自殺するようだ。初めはいたずらかと思ったが――不吉にも、遠くで救急車やパトカーのサイレンらしき音が鳴っている。――「手紙」
公園で遊んでいると、近くにいた子供が突然泣き出した。「なぜ世間は僕に冷たいんだ! 僕が何をしたってんだ!」――「親子ストリートファイター」
あの頃、砂嵐ばかり見ていた。私が小学生のころだ。――「砂嵐」
夏だというのに、この森は少し肌寒かった。日もすっかり暮れて、辺り一帯は闇に包まれていた。――「いじめられっ子のルシファー」
隣の席の、飯田さんに話しかけられたのは突然のことだった。「ねえ、ボンド貸してくれない?」「ボンド!?」――「万華鏡賛歌」
私は、小さい頃から集中力がなかった。周りからもよく、「しおりちゃんって、落ち着きがないよね」って良く言われる。――「たんこぶ」
【作者】
文藻ケノヒ
哲学科卒。現在は某進学塾で現代文の講師をやっています。最近は英語に加え、イラストや書道、作曲にお熱。もはや人生は哲学の実験場でしかない。小説はその実践のために書いています。その成果を皆さんに読んでもらうべく、日々精進しております。よろしくお願いします!