【イントロダクション】
誰かと、何かと対等に付き合うことは難しい。家族、恋人、世の中も然り。大人になると、利害関係の全くない関係のほうが珍しいかもしれない。相手の幸せを願うことと、相手から与えられる何かに期待することは、矛盾だろうか。
私を愛してくれる人には、同じだけの何かを返さなければいけないのだろうか。
価値があるから、愛している? 価値がなければ愛されない?
この社会で、私たちはどこを向いて、何を目指して、息せき切って走っているのだろう。
【あらすじ】
紙谷有実、売れないアーティスト。ついさっき日付が変わり、27歳になった。バイトで疲れた身体を引きずって帰ると、ベッドには彼氏ではなく知らない女が寝ていた。時任仁衣奈と名乗った女は、有実に対して不可解な言動を残して部屋を出て行く。数日後、ひょんなことからアンティークショップで働く仁衣奈と再会した有実は、なんとなく仁衣奈の存在が気になるようになり、彼女が何者か探ろうと行動を起こすが……
有実と仁衣奈、二人が出会ったとき、互いの人生と周囲との関係が少しずつ変化の兆しを見せていく――