〈六月の庭〉
彬さんは西洋紫陽花のひときわ長く伸びた枝に手を添え、人差し指で茎を撫でる。するすると滑る彬さんの長い指に感応するかのように花が震えた
シリーズ第1作。
法学部4年生の山野辺譲司は父方の伯父である修一の家に居候して司法試験に挑んでいる。伯父の養子でフラワーアーティストの〈彬さん〉は庭の紫陽花が伯父に害をなすのではないかと案じていた。伯父の母親で譲司の祖母にあたる千夜子が修一への怨嗟を込めて紫陽花に話しかけていたからだ。
譲司は訝しむ。果たして紫陽花は祖母の悪意を受け継いだのだろうか。
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