(「はじめに」より)
ライターという仕事をしている。
だからだろうか、いつも頭の中でなにかを考えたり、想像したり、悩んだりしながら、思い返して味わい直すことが好きだ。頭の中はいつも複雑で、難しいことを考えているというよりも「難しく考えている」のだとも思う。
はたから見ればどうでもいいことを牛のように反芻し、飴玉のように口の中で転がしている。それらはたいてい過去のことで、どうにもならない。ネガティブな意味合いではないと前置きしたうえで、もしこうだったら、なぜああなったのか、そんなふうにして言葉を、景色を、においを、光を、頭のなかで繰り返すのが好きなのだと思う。そうやって記憶は(ときに自分の都合のいいように塗り替えながら)色濃くなっていく。
やがて味わっているうちに、これこそがわたしの「書く」の種なのだと気がついた。ライターだから考えているのではない。この考えすぎる性格があるからこそ、わたしはライターを続けてこれたのかもしれないし、飴玉を転がしていなければ文章は生まれないだろう。こちらのブースもいかがですか? (β)
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