「レシートには、暮らしが詰まっている」
そう感じるようになったのは、いつからだろう。
店名や日付、品名、金額が書かれた一枚の紙切れ。わたしにはこれが、一人ひとりの暮らし、そして人となりが詰まった記録に見える。
レシートの店名や日付、買ったものをたどっていくと、不思議とその場で会った人や話したこと、当時の気持ちや情景がくっきりと浮かび上がってくる。それはたいてい、手帳にも写真にも残っていない日常そのもので、だからこそ、レシートという記録の力に心を動かされたのかもしれない。
いろいろな人のレシートを訪ねてみるのはどうだろう。そこに隠れた話を聞いてみたい。
「あなたの暮らしを教えてください」と、突然たずねても、答えに困らせるかもしれないけれど、レシートなら見せてもらえるだろうか。
そうしてはじまった、レシート探訪。26人の暮らしの断片、ささやかな生活の記録である。
「北欧、暮らしの道具店」の連載に書き下ろしエッセイを加えて再編。