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君の声はまだここに

  • 南1-2ホール | N-08 (小説|ミステリー)
  • きみのこえはまだここに
  • カーボ
  • 書籍|B6
  • 147ページ
  • 1,000円
  • https://amzn.to/4oFXf6e
  • 2025/9/17(水)発行
  • 十年前、僕は大切な少女を失った。
    名前はユリ。秘密基地のように通った洞くつで、笑い声を交わし、ラムネを分け合い、小さな願いを包み紙に書いては埋めた。

    「誰かにいいことが起きますように」

    その無邪気な祈りが、僕らの約束のように思えた。
    けれどある日、ユリは帰ってこなかった。交差点の冷たい風だけが、喪失の記憶を僕の体に刻んだ。

    十年後、大学で出会ったのは美月という女性。

    その仕草、その笑み、ふとした横顔が、失われたユリと重なって見えた。
    違うはずだ、と理性は告げる。けれど心は「彼女をもう一度見つけた」と叫んでいた。

    再会なのか、偶然なのか。戸惑いながらも、美月と過ごす時間は、止まっていた季節を再び動かしていった。
    手を伸ばせば、確かにそこにいる温もり。

    しかし、母の冷静な言葉がその想いを遮る。
    「ユリは、もうここにはいないのよ」
    現実は冷たく、僕の願いは揺さぶられる。

    それでも美月とともに、僕は十年前の洞くつを訪れる。
    包み紙を折る指先、願いを声にする響き。
    あの頃の記憶と、いま隣にいる彼女の笑顔が重なり合う。
    失われた初恋を抱きしめるのか、新しい恋を始めるのか──。
    選ばなければならない瞬間が、静かに近づいていた。

    これは、喪失と再会をめぐる物語。

    初恋の痛みを抱えたまま大人になった少年が、再び誰かを愛する勇気を取り戻していく。
    懐かしい記憶の温度と、新しい恋のときめきが交錯する本。

    「十年前に失った声と、いま隣にある温もり。
    その両方を抱きしめることは、許されるのだろうか。」

    読み終えたとき、あなたの胸にもきっと「初恋の続き」が静かに芽生える——

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