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【新刊】神をほどく

  • 南1-2ホール | O-05 (小説|SF)
  • かみをほどく
  • 丸山弌
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 126ページ
  • 1,000円
  • 2025/11/23(日)発行
  • 読みやすい本格ハードSFを目指しました。

    【あらすじの前にポエム】
     僕たちが〈物理法則〉と呼ぶものは、絶対的な真理なのでしょうか。それとも、たまたま安定している、一つの〈解釈〉に過ぎないのでしょうか。

     古来、僕たちは宇宙を『設計図』として理解しようとしてきました。神が数式で書き記した、不変で静的な書物として。ですが、その『書物』に書かれた内容は、あまりに都合よく僕たちの存在を許容しているようにも見えます。だからこそ「この宇宙はだれかにシミュレートされた宇宙なのではないか」と唱える人も少なくありません。この〈シミュレーション仮説〉は、僕たちの宇宙を、外部実行者を必要とする不自由な牢獄として描きます。
     しかし僕は、どうもその仮説は美しくないと感じています。
    〈シミュレーション仮説〉は、その根底にあるもの――すなわち説明不能な都合の良さを、外部という新たな神に丸投げする姿勢が気に入りません。だからこそ、その安直な仮説を真っ向から解体し、よりラディカルで、より美しい宇宙観として提示できないだろうか。そう思いながら本作の執筆に取りかかりました。
      元々僕は生命工学をテーマとしたSFを多く書いていたことから、その知識を宇宙に当てはめていきましたが、すると面白いことが起きました。僕の荒唐無稽なアイデアも、かつては本気で科学として探求していた人いたのです。そこに、宇宙科学の厚い知識の層を感じました。そうした先人たちに敬意を払いつつ、僕の問いはまとまりました。
    〝もし宇宙が書物というより、自らを実行し、問いに応答し、変容していく『プロセス』だとしたら?〟
     この物語は、物理学の終焉から始まる、人類と宇宙との新しい関係性の記録です。
     ページを開くあなたもまた、この問いの当事者となるのです。

    【あらすじ】
     高エネルギー加速器研究機構(KEK)の若き天才物理学者、天野翔。彼は、超ひも理論が予測する10⁵⁰⁰通りもの宇宙像『ランドスケープ問題』の迷宮に、他の研究者と同様に絶望していた。
     「我々の宇宙は、なぜこの宇宙なのか?」
      その問いの答えは、もはや物理学の外にあるようにしか思えない。
     ある時、異端の情報科学者・結城聡が語る『自己を読み解くDNA』という概念に触れた翔は天啓を得る。宇宙は静的な数式で記述された完成品なのではなく、自らのルールを読み、展開させていく動的な『自己展開アルゴリズム』なのではないか。しかしこの仮説は、不変の法則を前提とする物理学への冒涜として拒絶されてしまう。
      一方、ループ量子重力理論の立場から超ひも理論の『背景依存性』を批判してきた欧州原子核研究機構(CERN)の物理学者、エレーナ・イワノワは翔の仮説の奥に潜む可能性に気づき、知的な協力関係を結ぶことになる。やがて二人の共同研究は、ダークマターとダークエネルギーの謎を、宇宙が自らを構築する過程で生じる『情報の影』と『構造化の余剰エネルギー』として、パラメータの追加なしに導出することで、単なるシミュレーション仮説を否定し、宇宙が自己完結した情報処理系であることを示唆するのだった。
      そして二人は理論の最終証明のため、人類史上最も野心的なプランクスケール干渉実験に挑むことになる——

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